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インタビュー/高等教育無償化 プロジェクト「FREE」 重い学費の負担、奨学金返済の恐怖

真の無償化を求め、「出る杭」になる

斉藤皐稀/白石桃佳

 大学などでの高等教育を受けやすくするため、所得の低い家庭を対象とした支援制度が4月から始まります。これに対し、学生たちのグループ「高等教育無償化プロジェクト FREE(フリー)」は、「すべての人」への無償化を訴えています。なぜ、すべての人なのか。この社会と教育をどう変えたいのか。FREEのメンバーに聞きました。
(聞き手 朝日新聞編集委員・松下秀雄/写真 小林正明)
斉藤皐稀 さいとう・こうき(FREE総合コーディネーター)
1998年、静岡県生まれ。東洋大学文学部2年。沖縄のヒップホップアーティストCHOUJIやRITTOのファン。米軍基地問題では異なる立場をとる2人が共同して音楽をつくり、沖縄県民投票の際もともに投票を呼びかける姿に異なる立場の人へのリスペクトを感じ、自身もそう心がけている。
 
白石桃佳 しらいし・ももか(FREE総合コーディネーター)
1998年、北海道生まれ。中央大学商学部4年。日本の労働問題、特に外国人労働者政策について興味をもって学んでいる。労働問題をはじめ、あらゆる社会問題で、一人ひとりが個人として大切にされるためにはどうしたらいいのかを模索中。

――まず、FREEの紹介からお願いします。

斉藤皐稀 すべての人への高等教育の無償化をめざして2018年9月に結成したグループです。授業料などの学費や奨学金に関して学生の実態を明らかにするためにアンケートを集めたり、「ラリー」と呼ぶ街頭のスピーチで実態を伝えたりしています。30以上の大学などの学生、専門学校生、大学院生が参加し、LINEのグループは130人くらい。中心的に活動しているのは30人くらいかな。

 代表は東京大学の3年生で、シングルマザーの家庭に、6人きょうだいの末っ子として生まれました。貧困から抜け出すため頑張って勉強して進学したのですが、地元に帰ったとき、友だちが学費を負担できず進学を諦めたのを目の当たりにして、ゼミの先輩と相談した。それが結成のきっかけですね。

明るいはずの進学が暗い

拡大斉藤皐稀さん
――「FREEについての5W1H」というパンフレットをみると、学生の暮らしが厳しくなっていることや、学費や奨学金の問題点を、大内裕和・中京大教授の著書『奨学金が日本を滅ぼす』から引用して数字で示しています。自宅外生への仕送りは2000年には年156万円だったが、14年は119万円と37万円減少▽国立大の授業料は1969年、年1万2千円だったが、現在の標準額は53万5800円と45倍に▽2012~16年の奨学金にからむ自己破産は1万1223人―といった内容です。しかも近年、千葉大や東京工業大、東京芸術大のように、標準額を超えて授業料を値上げする国立大が出てきています。

斉藤 やっぱり、奨学金を返済するときの負担を恐怖に感じている学生が多くて。進学って、明るいものだと思っていたんですが、すごく暗いというか。

白石桃佳 仕送りゼロの人もけっこう多いんです。もらえたとしても、それだけでは生活できない人がすごく多い。

――ご自身の状況は?

斉藤 自分は、奨学金を借りないという選択をしました。高校の先生に「借りないほうがいいよ」って率直に言われて。奨学金を借りなくても行けるところといったら夜間部かなって、自分で働いて生活費を稼いでいます。学費は親に払ってもらって。今は休学して、週に66日、アルバイトしています。


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――大学とアルバイトの両立が難しかったからですか。

斉藤 はい。午前9時から午後5時まで働き、午後9時半ごろまで授業を受けて、帰ったらご飯をつくって、お風呂に入って、勉強して、寝てという生活でした。かなりきつかったんですよね。こんなモチベーションで大学に行っていても、もったいないなと思ったので、いったんお金をためて、学ぶ環境を整えたいなと。来年度から復学します。

白石 私は、奨学金は借りていません。学費は親に出してもらい、仕送りももらっています。たぶんそれができたのは、私が大学に進学するとき、姉が専門学校を卒業して社会人になっていて、一気に2人分の教育費を出さなくてすんだからです。

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