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ソーシャルメディアで広がる「デマ」

それに結びつく既存メディア攻撃

藤代裕之 法政大学教授

 先の見通せない新型コロナウイルスの感染拡大で社会の不安が高まり、不確実な情報やデマが拡散している。東日本大震災以降、ソーシャルメディアは身近な情報が得られる一方で、フェイクニュースなどの問題がクローズアップされたことから、既存メディアの信頼性が再評価されてきた。しかし、ここ数カ月の新型コロナに関連するソーシャルメディアを調査すると、政権、議員、専門家などが入り混じり、自らの正しさを主張し合う言論の抗争に「デマ」が結びつくようになっている。そして、この抗争に既存メディアも巻き込まれた結果、その信頼が揺らぐ事態となっている。

「デマ」のピークは3月1日

 新型コロナに関して拡散する「デマ」はどのようなものなのか。ソーシャルメディア投稿を分析するツールであるソーシャルインサイト(ユーザーローカル社)を利用し、2020年1月24日から3カ月間の「デマ」という言葉を含んだツイートを収集・分析した。

 不確実な情報は、手がかりがなければ不確実であると特定することが困難である。そこで、「この情報はデマだ」といった否定ツイートを手がかりにする。この方法では、「デマに騙されない」という呼びかけや、新型コロナ以外も含まれてしまうので、大まかな流れを把握するデータとなる。そこで、さらに具体的なツイートを確認するなどしてデータを補足していくことで全体像を明らかにしたい。ただし、デマという言葉は、政治的な目的で意図的に流される嘘を指すことが多く、自然発生する噂・流言と区分されている。この原稿では収集したツイートに関連するものは「デマ」と表記している。

 ソーシャルインサイトには、キーワードに関連して、オンラインに配信されているニュース記事やテレビ番組を確認できる機能もある。これらを図1にまとめた。期間中のツイート数は約270万件で、何らかの「デマ」に関する話題が語られている状況にあった。最も増加したのは3月1日(日曜日)で、14万ツイートに上っている。ニュース記事とテレビ番組も3月前半にピークを迎えているが、テレビ番組は3月中旬以降ゼロが続く。国内の感染者数が増えていく時期になると「デマ」はテレビでは扱われなくなっている。

拡大図1 「デマ」を含むツイート件数の推移

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筆者

藤代裕之

藤代裕之(ふじしろ・ひろゆき) 法政大学教授

1973年生まれ。広島大学卒。立教大学大学院修了(社会デザイン学修士)。徳島新聞、goo(NTTレゾナント)などを経て、2013年から法政大学。専門はジャーナリズム論、ソーシャルメディア論。著書に『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』(光文社新書)など。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)代表運営委員。