2020年09月22日
安倍晋三氏が病を理由に首相の職を辞し、官房長官だった菅義偉氏が後を継いだ。毎日新聞などによる世論調査では、支持率は64%と高い。なかなか順調な滑り出し、好発進である。
だが、昨年来多くの批判があった「桜を見る会」について、菅首相は「来年以降中止したい」と述べた。加藤勝信官房長官は過去の問題点の検証について「必要な調査は既に行っている」などと明言し、行わない考えを示した。だが、「中止するんだから、はいもう終わり」と「くさいものにフタ」で済まされるような問題ではない。安倍前首相が辞意を表明した記者会見では「私物化はしていない」としていたが、自身の後援会から何百人も参加者を「募り」、多額の税金を使って接待した事実は「私物化」そのものだ。安倍政権を支えた菅氏には(もちろん安倍前首相にもだが)、今後もさらなる説明が求められている。
私たち毎日新聞「桜を見る会」取材班は今年2月、『汚れた桜』(毎日新聞出版)を上梓した。「桜を見る会」の問題が昨年11月に国会で取り上げられてから12月末までの取材の記録である。
出版後に寄せられた読者の感想や、私たちの記事に対するツイッターの反応を改めて振り返ると、なぜ「桜を見る会」が注目を集めたかが見えてくる。その理由は大きく言って二つあると思う。
一つは、安倍晋三政権の体質が浮き彫りになった事案だ、ということだ。
第2次安倍政権が2012年12月に発足して以降、立憲主義や民主主義を破壊するような事案が次々と起こった。憲法9条の解釈変更をして集団的自衛権の行使を一部可能にした「安全保障関連法」や財務省による文書の改ざん・隠蔽なども問題となった「森友・加計問題」などだ。これらの報道には、よく「他に大事な問題がある」「いつまでやっているんだ」という批判が寄せられた。だが、「桜を見る会」にも立憲主義や民主主義が危うくなるような問題が凝縮されているから放置できない、と答えてきた。そして、
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