江畑佳明(えばた・よしあき) 毎日新聞記者
1975年、大阪府寝屋川市生まれ。99年入社。山形支局、大阪社会部、東京社会部、夕刊編集部(現・夕刊報道グループ)、秋田支局次長などを経て、2018年秋から統合デジタル取材センター。20年4月から同センター副部長。改憲や人権問題が得意分野。
安倍晋三氏が病を理由に首相の職を辞し、官房長官だった菅義偉氏が後を継いだ。毎日新聞などによる世論調査では、支持率は64%と高い。なかなか順調な滑り出し、好発進である。
だが、昨年来多くの批判があった「桜を見る会」について、菅首相は「来年以降中止したい」と述べた。加藤勝信官房長官は過去の問題点の検証について「必要な調査は既に行っている」などと明言し、行わない考えを示した。だが、「中止するんだから、はいもう終わり」と「くさいものにフタ」で済まされるような問題ではない。安倍前首相が辞意を表明した記者会見では「私物化はしていない」としていたが、自身の後援会から何百人も参加者を「募り」、多額の税金を使って接待した事実は「私物化」そのものだ。安倍政権を支えた菅氏には(もちろん安倍前首相にもだが)、今後もさらなる説明が求められている。
私たち毎日新聞「桜を見る会」取材班は今年2月、『汚れた桜』(毎日新聞出版)を上梓した。「桜を見る会」の問題が昨年11月に国会で取り上げられてから12月末までの取材の記録である。
出版後に寄せられた読者の感想や、私たちの記事に対するツイッターの反応を改めて振り返ると、なぜ「桜を見る会」が注目を集めたかが見えてくる。その理由は大きく言って二つあると思う。
一つは、安倍晋三政権の体質が浮き彫りになった事案だ、ということだ。
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