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勝ち馬追わず、敗者を背負え 問われる政治家の覚悟と矜持

大島新 ドキュメンタリー監督

小川淳也の言葉の真意

 そもそも小川淳也と知り合ったのは、小川と私の妻が香川県立高松高校で同学年だったことがきっかけだった。当時フリーのテレビディレクターで、人物ドキュメンタリーを志向していた私は、様々な職業を生きる人を取材することを望んでいた。とりわけ、政治家には興味があった。だがテレビの場合、放送局の政治部に所属していないと、なかなか永田町の議員には近づき難い。私は、初出馬の人であり、なおかつ妻との縁がある人なら自分でも食い込めるかも知れない、という助平根性から、カメラを持って高松に向かった。だから最初は単なる興味本位だった。

 ところが、小川に会ってみると実に興味深い人物だと感じた。「政治家がバカだとか、政治家を笑ってるうちはこの国は絶対に変わらない。だって政治家って、自分たちが選んだ相手じゃないですか。自分たちが選んだ相手を笑ってるわけですから、絶対に変わらないと思ったんですよね」。まっすぐな目で、政治家を志した動機と、理想の社会について切々と語る32歳の青年。総務省の官僚として将来を嘱望されていたのに、ただ「社会をよくしたい」という使命感から、妻や親きょうだいら家族全員の猛反対を押し切り、あえて野党・民主党から出馬を決めたのだ。しかし一方で、こんなに青臭くて政治の世界でやっていけるのだろうか、とも感じた。清濁併せ呑む、という資質が当たり前とされる永田町で、こういう人物がどうやって生き抜いていくのか、継続して見つめてみたい、という気持ちにさせられた。

 この03年の総選挙で、小川は落選し

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筆者

大島新

大島新(おおしま・あらた) ドキュメンタリー監督

1995年早稲田大学卒業後、フジテレビ入社。「NONFIX」「ザ・ノンフィクション」などのディレクターを務める。99年、フジテレビを退社しフリーに。MBS「情熱大陸」、NHK「課外授業ようこそ先輩」などを数多く手掛ける。2007年、「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」(日本映画批評家大賞ドキュメンタリー作品賞)を監督。09年、映像制作会社ネツゲンを設立。プロデュース作品に「ぼけますから、よろしくお願いします。」など。