メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

ネット右翼を改めて分析する

普通の人々が暴走するワケ

古谷経衡 著述家

情報受容力が高い中産A類

 現代日本社会では今や8割を超える人々が市部に住み、何かしらの組織に雇用され、または事業収入を継続的に得ている人々がほとんどである。当然こういった社会になってくると、中産階級の全てが「暴走」に及ぶ、とは言い難くなってくる。そこで私は、この国の中産階級を、情報受容力に限局して、以下の二者に分類する。ひとつは「中産階級であって、情報受容力が高い・中産A類」と、もうひとつは「中産階級であって、情報受容力が低い・中産B類」のふたつである。

 中産A類は、主に古典的な既存メディアから情報を継続的に受容するものである。古典的な既存メディアとは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・書籍の5種類のことを指す。中産A類は基本的に知的探求に貪欲で、可処分所得の中で「有料の知的媒体」に支出する金額が高い傾向にある。彼らは「有料の知的媒体」に支出するので、テレビについては無料の民放ではなく、有料のCSや衛星放送の能動的な契約を好む。また、当然月ぎめで支出する新聞購読習慣があり、都度支出する雑誌、書籍の主力購読層と重複する。中産であるが故に自家用車を持ち、一日の生活様態において勤務時間であってもマルチタスクを要求される場合が多く、所謂「ながら聞き・運転・作業中」でも並聴できるラジオへの依存度が高い。ラジオ媒体は近年劇的変化を遂げ、「ラジコ」で民放各局が横断的に共有され、電波の届く聴取範囲(聴取圏)に関係なく生放送をアーカイブとして有料で聞けるようになった。ラジコの登録者数は今や1千万人に迫り、そのうち約1割弱の約70万人が有料会員である(2020年3月)。日本経済新聞電子版有料会員数が約77万人(2020年6月)であることからしても、情報そのものに支出するという意味では、いまやラジオさえも「有料の知的媒体」になりつつある。

 中産A類は、基本的にはこういった古典的既存メディアへの信頼度が高く、その枠外から発せられる情報(ネット)への信頼度をやや低いとみなしている。最も重視するのは情報の突飛性や斬新性ではなくファクト(事実)で、また

・・・ログインして読む
(残り:約4612文字/本文:約7703文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

古谷経衡

古谷経衡(ふるや・つねひら) 著述家

1982年、札幌市生まれ。立命館大学文学部卒。若手の保守派としてインターネットや社会、歴史、若者論などを中心に執筆、言論活動を展開。著書に『愛国商売』(小学館文庫)、『「意識高い系」の研究』(文春新書)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮新書)、『ネット右翼の終わり』(晶文社)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです