山脇岳志(やまわき・たけし) スマートニュースメディア研究所研究主幹
1964年、兵庫県生まれ。京都大学法学部卒。86年に朝日新聞に入社後、経済部記者、論説委員、GLOBE編集長、アメリカ総局長などを経て退職。この間、オックスフォード大学客員研究員、ベルリン自由大学上席研究員。2020年から現職。著書に『日本銀行の深層』(講談社文庫)など。近刊に『政治コミュニケーション概論』(共著、ミネルヴァ書房)。京都大学経営管理大学院特命教授。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
かつてはアメリカ人が午後6時にテレビをつけた時の選択肢は「イブニングニュース」であった。ABC、CBS、NBCの3大ネットワークは、基本的なフォーマットに大きな差はなかった。
現在は何百もの選択肢が存在する多チャンネル時代になった。メディアそのものも、新聞、テレビ、ラジオから、オンラインメディア、ソーシャルメディアなど、多種多様な選択肢がある。
傾向をみても、リベラル系だけでなく、保守系、親「トランプ系」もある。陰謀史観を積極的に流すメディアもある。
「メディアの分極化」といえるが、そもそも、メディアが分極化したから世論が分極化したのか、世論が分極化したからメディアが分極化したのだろうか。
いわば「鶏か卵か」という問いだが、研究者の間でもさまざまな議論がある(詳細は割愛するが、ご関心のある方は、拙共著『現代アメリカ政治とメディア』〈東洋経済新報社〉をご覧下さい)。世論の分極化が先だという意見が強いが、メディアの分極化が世論をさらに分極化させていると指摘する研究もある。
2018年、CNNの元ワシントン支局長で、ジョージ・ワシントン大学メディア広報学部長のフランク・セズノ氏に、インタビューをした。メディアと世論の分裂のどちらが先に生じたのかについては「世論だ」と明確だった。ニクソン氏が大統領に当選した1968年を注目すべき年だとした。当時、ベトナム反戦運動や公民権運動が大きなうねりとなっていたが、リベラルな
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