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失敗し続ける記者クラブ改革

時空を超えてその理由を検証する

森暢平 成城大学文芸学部教授

競争抑制と監視

 記者クラブには、同業他社との競争抑制と監視という隠された機能もある。言論弾圧事件で有名な横浜事件(1944〈昭和19〉年)で検挙された酒井寅吉という『東京朝日新聞』の記者がいた。彼は33(昭和8)年に入社し、長野支局に赴任する。初任給が70円と他社よりも高給だったことを踏まえ、彼はつぎのように書く(『ジャーナリスト―新聞に生きる人びと』)。

 同業の若い記者と毎晩飲み歩くことになった。ところが彼らの中には月給15円などというのがザラであって、勘定はほとんど私が払うことになった。すると自然な感情として、私が親分となって、飲ましてもらっている彼らは私への義理だてに、仕事の方でも助けてくれた。中には自社へ書く特種を先に私に呉れたりした。

 取材の現場では、同業他社との協力関係が重要となる。あの家の男性はよく話してくれるとか、家宅捜索は何時になりそうだとか……。本来はライバルである同業他社が貴重な情報源となる。

 情報交換が重要なのは、記者が、情報という特殊な対象を扱う点に求められ

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筆者

森暢平

森暢平(もり・ようへい) 成城大学文芸学部教授

1964年、埼玉県生まれ。京都大学文学部史学科卒。90年、毎日新聞に入社し、福島支局、社会部記者。98年に退社し国際大学大学院国際関係研究科に入学、2000年に修了。CNN日本語サイト編集長、琉球新報ワシントン駐在記者などを経て現職。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史』(吉川弘文館)、『皇后四代の歴史』(共著、吉川弘文館)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです