メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

8月ジャーナリズムと追悼式から 終戦記念日を問い直す

吉田裕 東京大空襲・戦災資料センター館長

継承への新しいアプローチ

 とは言え、戦争体験の継承に関する新しいアプローチも着実に始まりつつある。マスコミの注目を浴びているのは、AIと聞き取りによって戦時中の白黒写真をカラー化する試みである。この作業に取り組んでいる研究者は、その狙いを「当時の写真は、もっぱらモノクロです。カラーの写真に眼が慣れた私たちは、無機質で静止した『凍りついた』印象を、白黒の写真から受けます。このことが、戦争と私たちの距離を遠ざけ、自分ごととして考えるきっかけを奪っていないでしょうか?〔中略〕カラー化によって、白黒の世界で『凍りついて』いた過去の時が『流れ』はじめ、遠いむかしの戦争が、いまの日常と地続きになります」と説明している(庭田杏珠・渡邉英徳『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』光文社新書、2020年)。カラー化の意義と限界に関してはより踏み込んだ議論が必要だが、「自分ごととして考えるきっかけ」を作るという発想は大切にすべきだと思う。

拡大2020年7月から8月にかけて朝日新聞が連載した「戦後75年 空から見た戦跡」(全6回)。第1回は兵庫県加西市にある鶉野(うずらの)飛行場跡=2020年7月27日付夕刊


 もう一つは、各地に残る戦争遺跡や平和・戦争博物館などを観光資源として活用しようとする動きで
・・・ログインして読む
(残り:約5624文字/本文:約7563文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

吉田裕

吉田裕(よしだ・ゆたか) 東京大空襲・戦災資料センター館長

1954年、埼玉県出身。東京教育大学文学部卒、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。同大社会学部教授などを経て、同大名誉教授。2019年から現職。専門は日本近代軍事史、日本近現代政治史。主著に『現代歴史学と戦争責任』(青木書店)、『日本の軍隊―兵士たちの近代史』(岩波新書)、『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです