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安定的な皇位継承を目指すなら「女性・女系天皇」容認しかない

高森明勅 神道学者、皇室研究者

有識者会議報告書の問題点

 上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法が成立した際に、国会は附帯決議の形で政府に対して、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」などについて「速やかに」検討を行うように求めた。

 このたびの有識者会議は、その正式名称が「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」であることに示されているように、その国会からの要請に応えるために設けられたはずだ。しかし、その報告書は驚くべき内容だった。

 まず前述の通り、本来の課題だった皇位の安定継承については、平然と〝先延ばし〟を表明した。白紙回答だ。次世代の皇位継承資格者がまだお一人いらっしゃることがその理由とされた(報告書6ページ)。しかし次世代がゼロになってから制度改正に着手するのでは、もちろん全ては手遅れになる。あまりにも無責任であり、国民の代表機関である国会を軽視するにもほどがある。

 報告書は論点を「皇族数の確保」にすり替えた上で、主に二つの提案をした。

 その1は、未婚の女性皇族(内親王・女王)が婚姻後も引き続き皇族としての身分を保持し続ける一方で、配偶者やお子様は国民のままとするプラン。これがもし実現すれば、近代の皇室制度が整えられて以来、初めて女性皇族と国民男性が〝一つの世帯〟を営むという、前代未聞(!)の仕組みになる。

 「配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続ける」(報告書10ページ)という。そうであれば、憲法第3章が国民に保障する政治・経済・宗教など諸分野での活動の自由は、国民からは内親王・女王と〝一体〟と見られるのを避けにくい配偶者やお子様にも、特段の留保もなく認められねばならないはずだ。配偶者が政界からのアプローチで国会議員になったり、お子様が芸能プロダクションにスカウトされてタレントとして活躍したりすることも、制度上はありうることになる。

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筆者

高森明勅

高森明勅(たかもり・あきのり) 神道学者、皇室研究者

1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。小泉内閣での「皇室典範に関する有識者会議」のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、神道宗教学会理事、国学院大学講師ほか。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『私たちが知らなかった天皇と皇室』など。ホームページ「明快! 高森型録」。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです