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男系継承という大原則は、安易に崩すべきではない まだ時間はある

岩井克己 ジャーナリスト

 1986年(昭和61)の高円宮承子女王誕生から始まって2006年(平成18)の秋篠宮悠仁親王誕生まで3女王、3内親王、1親王の誕生を取材し、成長を見守ってきました。皇位継承問題で三つの有識者会議の議論や様々な論争も経験しましたが、皇室の存続のためには一貫してきた男系継承という大原則は安易に崩すべきではないと慎重論をずっと唱えてきました。

 菅義偉内閣が設置した「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(清家篤座長)は昨年末、岸田文雄首相に最終報告を提出し議論の舞台は国会へと移りました。同報告は「皇嗣秋篠宮、悠仁親王の継承の流れを揺るがせにしてはならない」とし、皇位継承問題とは切り離して皇族数の確保を図る選択肢を提言しました。

拡大「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議で、岸田文雄首相(右)に報告書を渡す清家篤座長=2021年12月22日首相官邸

 (1)女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持する(2)養子縁組を可能にして旧宮家の男系男子に復籍してもらう(〔3〕それでも十分に確保できなければ旧宮家男系男子に直接復籍してもらう)というものです。

 現時点で妥当な結論だと思います。

 次々代に女子しかいなかった時期の小泉有識者会議ですら、女性・女系天皇容認案には強い反対が巻き起こり国論分裂に至りました。男系男子の継承者がおられ、継承順序も既に法的に固まった現在は、それ以上に深刻な国論分裂は避けられないでしょう。小泉内閣のときの悲惨な状況を知る身としては、二度とあのような事態はみたくないと思うのです。

 今回の清家有識者会議では筆者も意見陳述の機会を得ましたが、約20分間では用意した説明文案の一部しか述べられず、十分には意をつくせませんでした。そこで、一部重複をお許し願いながらも改めて筆者の意見と、今後の国会の議論、ジャーナリズムのあり方について思うところを記してみたいと思います。

皇位継承の危機をどうするか

 現在の皇位継承の危機をどうするかは、真剣に考えれば考えるほど頭を抱え込んでしまうような極めて悩ましい問題であり、皇室の歴史・伝統と現代の社会環境とのはざまで国民的コンセンサスを得られる対処策は、なかなか断言しがたいのではないかと思っています。

 個人的には、例外なく連綿と続いてきた皇位の継承原則の重みを考慮すれば、ぎりぎりまで大切に維持するのが望ましいと思います。まだ時間はあります。例えば15年後でも天皇陛下77歳、皇嗣秋篠宮殿下71歳、悠仁親王殿下30歳。皆さまご健在でしょうし、悠仁親王が男子を得ておられる可能性も十分にあると思います。

 ただ、皇族の減少を補い、万一の場合に備えるため、内親王を何らかの形で控えの継承候補として皇室とのかかわりを続けていっていただく。具体的には、第一に皇室経済法上の「独立した生計を営む内親王」=内親王家として一代限り皇籍に残っていただく(皇位継承の義務を負う親王に比べれば独立一時金や年間皇族費支給額は半額になります)。皇位継承資格者ではなく、結婚しても夫君やお子さまは皇族としないか、皇族とする場合でも、お子さまは男女に限らず結婚や自らの希望で皇籍を離れる。

 第二に内親王が結婚して皇籍を離れられた後も「元内親王」とか「皇女」などの称号で、皇室を側面から支えていただく。

 この選択が今は現実的ではないかと考えます。

 旧宮家からの男系男子の復籍はハードルが高く、あくまで万策つきそうな場合の窮余(きゅうよ)の策だろうと思います。

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筆者

岩井克己

岩井克己(いわい・かつみ) ジャーナリスト

1947年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。71年朝日新聞社入社、86年から社会部宮内庁担当・編集委員。2012年退職後はフリー、同社皇室担当特別嘱託。秋篠宮婚約、皇太子妃懐妊などを特報。紀宮婚約特報で日本新聞協会賞受賞。著書に『天皇家の宿題』(朝日新書)、『皇室一五〇年史』(ちくま新書、共著)、『皇室の風』(講談社)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです