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密約めぐる「国家の噓」今も メディアはどこまで迫ったか

西山太吉さんインタビュー 復帰50年 沖縄報道を問う

西山 太吉 元毎日新聞記者

「基地の自由使用」こそ米の狙い

――アメリカでも同じ頃、駐日米大使を務めたライシャワーが「沖縄返還は時間の問題」との認識を示しています。

西山 米国防総省は猛反対や。沖縄は、アメリカの世界戦略にとって極東におけるキーストーン(要石)だ。自由自在に使える基地でなくちゃいけないって反対したんだ。だけど、日本の国内事情からみて、それ一辺倒ではだめだ、というのが国務省の考えで。

事件の発端となった外務省の機密電信文には、『問題は実質ではなくAPPEARANCE(みせかけ)である』との米高官の発言が記されていた拡大事件の発端となった外務省の機密電信文には、『問題は実質ではなくAPPEARANCE(みせかけ)である』との米高官の発言が記されていた

――68年、沖縄では「本土復帰」を掲げる屋良朝苗(やら・ちょうびょう)が琉球政府のトップに選ばれ、嘉手納基地では米爆撃機B52の爆発事故がありました。

西山 それを受けてね、アメリカでは国防総省のように軍事的戦略論だけではだめだ、日本側の要望を聞いて沖縄を復帰させなくちゃいけないだろうと。ただし、国務省としても、国防総省の(基地の自由使用という)要求を前提にやってきたんですよ。

――日米安保条約では、米軍が直接出撃する際は日本側との「事前協議」に諮るとされていました。返還後は、米軍が自由に基地を使えるように、と求めたんですね。

西山 緊急時の朝鮮半島への出撃については、すでに密約を結んでおった。さらに、ベトナムも含めた極東をにらんだアメリカには、自由使用が不可欠だった。メモランダム13号を読んでみい。あのとき、返還に同意する条件として「軍事基地の通常兵器による最大限の自由使用が認められるようにする」と出てるよ。

――メモランダム13号とは、米国家安全保障会議が69年5月28日に作成した「米軍の対日政策と沖縄返還戦略」についての文書ですね。

西山 そう、(基地の)自由使用と、もうひとつはカネよ。米軍基地にかかる費用を最大限、日本に負担させて、これまで沖縄に投じた分を回収するとも書いてある。沖縄返還で、アメリカは

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筆者

西山 太吉

西山 太吉(にしやま・たきち) 元毎日新聞記者

1931年、山口県生まれ。56年、毎日新聞社入社。政治部では首相官邸、自民党、外務省などを担当。「米原子力潜水艦の初寄港」のスクープなどで活躍する。沖縄密約事件で逮捕・起訴され、74年の一審判決(無罪)後に退社。78年に最高裁で有罪(懲役4カ月、執行猶予1年)が確定。著書に『沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟』『機密を開示せよ』など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです