平和博(たいら・かずひろ) 桜美林大学教授(ジャーナリズム)
1962年生まれ。早稲田大学卒。86年朝日新聞社入社。シリコンバレー駐在、編集委員、IT専門記者を経て、2019年から現職。著書に『悪のAI論 あなたはここまで支配されている』『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』『朝日新聞記者のネット情報活用術』、訳書にダン・ギルモア著『あなたがメディア! ソーシャル新時代の情報術』(いずれも朝日新聞出版)など。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
戦争とメディア
ソーシャルメディアを舞台とした情報戦で、ウクライナとロシアは対照的なアプローチを見せる。
ソーシャルメディアは、感情を伝播させるメディアと言われる。ロシアが展開するのは、「ウクライナによるロシア系住民への迫害」という「恐怖」や「怒り」を喚起する情報戦だ。これに対して、軍事力では劣勢に立つウクライナは、「共感」を軸にしたソーシャルメディアのコミュニケーションを展開した。
ロシアによる侵攻開始直後、「(ウクライナの)ゼレンスキー大統領が慌ててキエフを去った」とのフェイクニュースがロシアから拡散される。これに対して