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SNS化する新たな戦争 フェイクニュースをめぐる攻防

戦争とメディア

平和博 桜美林大学教授(ジャーナリズム)

「恐怖」と「共感」の情報戦

 ソーシャルメディアを舞台とした情報戦で、ウクライナとロシアは対照的なアプローチを見せる。

 ソーシャルメディアは、感情を伝播させるメディアと言われる。ロシアが展開するのは、「ウクライナによるロシア系住民への迫害」という「恐怖」や「怒り」を喚起する情報戦だ。これに対して、軍事力では劣勢に立つウクライナは、「共感」を軸にしたソーシャルメディアのコミュニケーションを展開した。

拡大マリウポリの製鉄所「アゾフスターリ」とみられる場所で、バスで助け出される親子。アゾフ連隊が撮影した動画をウクライナの対ロシア交渉担当者、デビッド・アラカミア氏がSNSに投稿した=同氏が投稿した動画から

 ロシアによる侵攻開始直後、「(ウクライナの)ゼレンスキー大統領が慌ててキエフを去った」とのフェイクニュースがロシアから拡散される。これに対して

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筆者

平和博

平和博(たいら・かずひろ) 桜美林大学教授(ジャーナリズム)

1962年生まれ。早稲田大学卒。86年朝日新聞社入社。シリコンバレー駐在、編集委員、IT専門記者を経て、2019年から現職。著書に『悪のAI論 あなたはここまで支配されている』『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』『朝日新聞記者のネット情報活用術』、訳書にダン・ギルモア著『あなたがメディア! ソーシャル新時代の情報術』(いずれも朝日新聞出版)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです