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気候変動、バーチャル、ダイバーシティ…6月株主総会で機関投資家の最新動向は

依馬 直義

機関投資家による議決権行使の状況
~2021年6月株主総会を振り返って~

   

三井住友信託銀行株式会社
証券代行部
審議役 依馬直義

依馬直義依馬 直義(えま・なおよし)
 三井住友信託銀行株式会社 証券代行部 審議役。
 1991年中央信託銀行(現・三井住友信託銀行)入社。信用格付機関の出向等を経て、IR・SRコンサルティング業務に携わり、2012年4月よりIR・SRチーム長、2017年10月より審議役。

1.はじめに

 2015年に策定されたコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)は、本年6月に3年ぶりに再改訂された。主な変更点としては、➀取締役会の機能発揮、②企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保、③サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取組み、④その他個別の項目としてグループガバナンスの在り方、監査に対する信頼性の確保及び内部統制・リスク管理、株主総会での環境整備が挙げられる。また、2022年4月から東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、現在の4つの市場である市場第1部、市場第2部、マザーズおよびJASDAQ(スタンダード・グロース)が、新たにプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの区分に再編される。

 今回改訂されたCGコードによれば、上場会社に対して以下の点が求められる。

  • プライム市場上場会社には取締役会に3分の1以上の独立社外取締役を選任すること
  • 経営戦略上の課題に照らして取締役会が備えるべきスキル等を特定し、その上で各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ経営環境や事業特性等に応じた適切な形で社内外の取締役の有するスキル等の組み合わせを開示すること
  • 取締役会のみならず経営陣にも多様な視点や価値観を備えること
  • サステナビリティを巡る取組みについては基本的な方針を策定すること
  • 特にプライム市場上場会社には気候変動についてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等の枠組みに基づく情報開示
  • プライム市場上場会社には機関投資家向け議決権行使電子行使プラットフォームの利用を可能とすべきであること

 こうした背景もあり、本年6月総会においては取締役会の構成・ダイバーシティ・スキル、社外取締役の独立性、気候変動等に注目が集まったが、本稿では機関投資家による議決権行使を中心に振り返ってみたい。

2.本年6月総会のトピックス

(1)バーチャル総会

 出席型および参加型を含めたバーチャル総会の開催社数は2020年6月に100社程度であったが、本年6月は300社を超えた。ただし、出席型は十数社にとどまり参加型が大半を占めた。

 本年6月の国会で可決した産業競争力強化法改正によって、上場会社は株主の利益の確保に配慮しつつ産業競争力を強化することに資する場合として経済産業省令・法務省令で定める要件を充足する旨の経済産業大臣および法務大臣の確認を経た上で、株主総会をバーチャルオンリー総会の方法で開催できる旨を定款で定めることにより、株主総会および種類株主総会をバーチャルオンリー総会の方法で開催できることになった。

 一方、同法の改正後2年間は定款変更なしでバーチャルオンリー総会の開催が可能であるが、その先を見据えてバーチャルオンリー総会を可能とする定款変更議案を上程する企業もみられた。たとえば、武田薬品工業のように「感染症拡大または天災地変の発生等により、場所の定めのある株主総会を開催することが、株主の利益にも照らして適切でないと取締役会が決定したときには、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることができる」といった一定の条件を規定する企業に対しては機関投資家からの賛同が得られたが、こうした規定がない企業に対しては「バーチャル総会を一時的に認めるものではなく恒久的であることや、株主提案・プロクシーファイト・企業不祥事等の特別な状況を考慮しておらず、株主と企業との有意義な意見交換の機会を損なう懸念があること」を理由に反対するケースもみられた。機関投資家の中には、企業が恣意的に株主の出席や質問の内容・時間を制限する等の株主権利を棄損することを疑問視し、バーチャル総会はリアル総会の補完的な位置づけとすべきとの意見もある。

(2)気候変動関連の株主提案

 気候変動関連の議案、いわゆる“セイ・オン・クライメート”は、株主総会において世界的なトレンドであり、日本でも話題となった。2020年にみずほフィナンシャルグループに対し大手日本企業として初めて気候変動関連の株主提案が出されたが、本年6月総会では三菱UFJフィナンシャルグループに類似した株主提案が出された。環境団体の気候ネットワーク等4団体は、国際的な枠組みであるパリ協定に沿った経営計画の策定等を定款に盛り込むように求めた。また、住友商事に対して豪環境NGOであるMarket Forcesが定款一部変更議案として、パリ協定の目標に沿った事業活動のための事業戦略を記載した計画の策定および開示を求める株主提案を行った。議決権行使助言会社による賛否推奨はISSが賛成、グラスルイスが反対に割れた模様であるが、最終的に賛成比率は20%にとどまった。こうしたセイ・オン・クライメートは、海外では一般に法的拘束力がない勧告的決議であるが、日本では定款変更議案として提案されるため、経営の自由度を奪ってしまうことを懸念して定款上に規定することに否定的な機関投資家も少なくない。

(3)取締役会のダイバーシティとスキル・マトリックス

 CGコード改訂の影響もあり、女性取締役は本年6月総会において41.4%の企業が選任し、前年の33.6%から上昇した。また、スキル・マトリックスについては、本年6月総会では東証1部上場企業1,480社のうち322社が招集通知に記載した。(いずれも三井住友信託銀行調べ)

3.議決権行使ガイドラインの変更

(1)議決権行使助言会社

 ア.ISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)

 ISSの議決権行使助言方針では、2022年から2つの変更が予定されている。1つは監査役会設置会社における取締役会の独立性要件であり、ISSは株主総会終了後に少なくとも取締役会に3分の1以上の社外取締役がいない場合、企業の経営トップに反対を推奨することになる。もう1つの変更点は政策保有株式についてであり、過度な保有が認めれられる場合(政策保有株式の保有額が純資産の20%以上の場合)には、企業の経営トップに反対を推奨する予定である。

 イ.グラスルイス

 グラスルイスは2021年より原則として、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の貸借対照表計上額の合計額が連結純資産と比較して10%以上の場合、会長(会長職が無い場合、社長等の経営トップ)に反対助言を行っている。なお、この方針に使用する情報は、前年度の有価証券報告書の数値を使用する。ただし、この方針に関連する直近の数値を開示している企業については、その最新の数値を使用して精査する。しかしながら、基準値を超える政策保有株式を保有していると確認できる場合においても、明確な削減計画を開示し、さらに政策保有株式が減少していると確認できる場合や、株式の政策保有が事業戦略上、必要である旨の明確な開示があり、グラスルイスが合理的だと判断できる場合は、反対助言を見送ることがあるとしている。

(2)国内外の機関投資家

 ア.社外取締役の人数・割合

 野村アセットマネジメントは、社外取締役の人数が最低水準(2名又は取締役の人数の3分の1の多い方)を下回る場合、会長・社長等の取締役再任に原則として反対するとした。但し、支配株主のいない監査役会設置会社においては2021年10月までに開催される株主総会については、2名又は取締役の人数の20%の多い方とする。

 りそなアセットマネジメントは、取締役会に独立性のある社外取締役が3分の1以上選任されていない場合、合理的かつ納得性ある説明がなければ代表取締役(注1)の選任に反対するとした。但し、監査役会設置会社については、取締役会に独立性のある社外取締役が2名かつ25%以上選任されている場合は賛成。また、親会社または支配株主を有する企業については、取締役会に独立した社外取締役が過半数選任されていない場合、合理的かつ納得性ある説明がなければ代表取締役(注1)の選任に反対する。

 ブラックロック・ジャパンは、監査役設置会社において少数株主との利益相反の懸念が大きい企業(および東証プライム上場企業)に、独立社外取締役1/3を求め、不在の場合は有責性のある取締役に反対するとした。また、全社外取締役の独立性を精査し、独立と認められない候補者に反対する。ただし、この基準は投資先企業に対する周知徹底および企業側の対応のための準備期間を考慮し、2022年1月からの適用とする予定である。

 アセットマネジメントOneは、2021年4月総会より取締役会における社外取締役の人数・構成比率について「2人以上」「20%以上」としていたが、「2人以上」「25%以上」に引き上げている。

 イ.社外取締役の在任期間

 野村アセットマネジメントは、社外取締役の在任期間を12年未満とした。また、関係金融商品取引所に独立役員として届け出られている者又は事業報告若しくは株主総会参考書類に独立役員として届け出る予定であることが記載されている者であって、かつ最初に社外取締役に就任する時点において直近3年以内に当該会社の大株主である会社に在籍実績がないことを社外取締役の独立性の要件としている。

 りそなアセットマネジメントも、当該企業の在任期間が12年以上の場合、社外取締役としての独立性を満たさない。なお、大株主の独立性基準として過去5年以内に在籍していなければ独立性が確保されているとみなすとしている。

 ウ.女性役員の選任

 外資系および海外の機関投資家の間では、女性役員の基準を導入する動きがみられた。ブラックロック・ジャパンは、2021年からTOPIX100を対象に取締役会の多様性確保の取り組みが著しく不十分な場合、すなわち女性の取締役もしくは監査役が選任されておらず、その理由に関して合理的な説明がなされない場合、取締役会構成に責任のある取締役の再任に反対する。また、アライアン・スバーンスタインは2021年以降、日本の取締役会において少なくとも1名の女性取締役を必要とすることを議決権行使方針に入れた。さらに、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、これまでTOPIX500を対象に女性取締役がいない場合、指名委員会委員長または取締役会のリーダーに反対するとしてきたが、2021年から取締役上位3人に対象を拡大している。その他に、リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントはTOPIX100を対象に女性取締役がいない場合、取締役の最上位または指名委員会委員長に反対してきたが、2021年から対象企業をTOPIX500に拡大している。

 エ.気候変動関連

 アセットマネジメントOneは、気候変動リスクなど企業毎の重要な課題に関する適切な情報開示の充実を求める提案について、中長期的な株主価値向上に資すると判断される場合は、原則として賛成する。また、ブラックロック・ジャパンは、気候変動に関連するリスクが高いと考えられる投資先企業において、情報開示の取り組みや改善姿勢が不十分と判断する場合、責任を負う取締役の再任に反対する。その他に三井住友トラスト・アセットマネジメントは、ESGテーマを始めとする重大な課題を抱える企業について、エンゲージメントの申し入れに応じていただけない場合や、継続的にエンゲージメントを実施したにもかかわらず状況に完全がみられない場合、反対することも検討する。

5.主な議案に対する議決権行使の状況

(1)剰余金処分

 剰余金処分議案に対する反対行使は限定的であるが、国内機関投資家の中には➀株主資本に対するネットキャッシュ(現金同等物マイナス負債)比率がマイナスかつ配当性向100%以上(赤字配当含む)に該当する場合、②ネットキャッシュの状態で総還元性向(配当金支払総額+自社株買い総額÷当期純利益×100)が25%未満の場合、③株主資本比率が高く、売上高あるいは総資産に占めるネット金融資産の割合が一定以上かつROE(株主資本利益率)が低い水準の場合、反対するケースがみられた。なお、海外機関投資家による反対行使も稀であり、ISSは年間の配当性向が15~100%の範囲内であれば通常賛成推奨、グラスルイスも特に問題視していない。

(2)取締役選任

 ア.独立性基準

 取締役会に独立性のある社外取締役が3分の1以上いないことを理由に、➀経営トップである取締役、②代表権のある取締役、③再任の取締役、④取締役全員、あるいは⑤独立性のない社外取締役にのみ反対する機関投資家もみられた。機関投資家によって反対する対象者、および独立性がないと判断する基準は異なる。独立性の主なポイントとしては大株主、主要な借入先、主要な取引先、顧問契約のある弁護士あるいは会計士事務所、政策投資株式保有先等の出身者、役員の相互派遣のある先等であるが、大手の国内機関投資家は独立役員として証券取引所への届出あるいは届出予定の有無によって独立性を判断する傾向が強い。さらに、親会社あるいは支配株主を有する企業においては、独立性のある社外取締役を過半数に引き上げている機関投資家もあり、反対するケースもみられた。なお、ISSは監査役会設置会社の場合、社外取締役に独立性までは求めておらず、現時点では取締役会に社外取締役が2名以上いれば反対を推奨していない。

 イ.業績基準

 業績基準に抵触したことを理由に、一定以上の在任期間の取締役候補者に対し反対するケースがみられた。たとえば、3期連続で業績基準(ROEがTOPIX構成銘柄全体の上位75%タイル水準以上)を満たさない場合、3年以上在任の取締役選任に反対があった。また、業績や資本効率の観点から株主価値の毀損が継続しており、今後も改善が期待でいないと判断した場合、代表取締役の再任に反対がみられた。なお、ISSは通常であれば、資本生産性が低くかつ改善傾向にない(過去5期平均のROEかつ直近期のROEが5%を下回る)場合、経営トップに反対を推奨しているが、前年に続き新型コロナウィルス感染症の影響を考慮して、一時的にROE基準を適用しないケースもみられた。

 ウ.ジェンダー・ダイバーシティ

 海外の機関投資家からは、女性の取締役が1名もいない企業に対し経営トップに反対するケースもみられた。また、グラスルイスは、監査等委員会設置会社の取締役会に独立性のある社外取締役が3分の1以上いないこと、および女性の取締役が1名もいなことを理由に経営トップに反対を推奨した(注2)

 エ.その他

 その他の基準として、①社外取締役の在任期間が10年あるいは12年以上の場合、②上場企業の業務執行者が上場企業3社以上の取締役を兼任している場合、③社外取締役の取締役会への出席率が75%あるいは85%未満の場合、④監査等委員会の委員長を社内取締役が務めている場合、当該候補者に反対を推奨したケースもあった。また、⑤明確な理由の説明がない社内取締役の増員についても、代表取締役の再任に反対するケースもみられた。その他には、⑥不祥事や法令違反等があった上場企業の社外取締役を兼務する再任候補者に反対するケースもあった。

(3)監査役選任

 監査役選任議案では、社外監査役に独立性がないことを理由に反対するケースが多くみられた。たとえば、ISSは大株主、借入先および政策投資株式保有先の出身者であり、社外監査役としての独立性がないことを理由に反対を推奨した。また、グラスルイスは、改選後の監査役会メンバーに独立性のある社外監査役が過半数いないことから反対を推奨した。その他に、監査役または社外監査役の減員について、その理由が明確かつ合理的でない場合、候補者全員に反対するケースもみられた。

(4)役員報酬

 当社調べでは、2021年5月までに役員向け株式報酬制度導入を開示した企業は1,682社と、5年連続で年間200社超のペースで増加している。一般的に株式報酬に関する機関投資家の議決権行使基準としては、①希薄化率(発行済株式総数の5~10%以下)、②交付対象者(社外役員を含まない)、③交付時期(一定期間以上の経過後あるいは役員退任後)、④交付を可能とする業績条件等が挙げられる。具体的な事例としては、業績連動型報酬制度や株式報酬制度の付与対象者に社外取締役、監査等委員である取締役、監査役、社外監査役等の業績の向上と直接的な関連性が認められない者あるいは株式のインセンティブを与えるのが適当でないと判断される者に対し反対するケースもみられた。

(5)定款変更

 定款によって剰余金配当について株主総会での決議を排除し取締役会決議にする場合、発行可能株式総数の引上げについて発行可能株式総数の増加率が50%以上の場合、あるいは大幅な希薄化が生じる懸念(拡大後の発行可能株式総数が現在の発行済株式総数の2倍以上)がある場合に反対する国内機関投資家もみられた。

(6)監査等委員会設置会社への移行

 2015年5月の会社法改正により上場企業は「監査役会設置会社」と「指名委員会等設置会社」以外に、「監査等委員会設置会社」を選択することが可能となった。当社調べでは、2021年6月総会までに監査等委員会設置会社へ移行(定款変更議案)した企業は1年間で100社超増加し、1,277社と全体の33%を占めた。移行する企業は、株主総会において少なくとも5つの議案(①定款一部変更、②監査等委員でない取締役の選任、③監査等委員である取締役の選任、④監査等委員でない取締役の報酬、⑤監査等委員である取締役の報酬)を上程する必要があるが、定款一部変更議案に対して機関投資家が反対するケースはほとんどなかった。ただし、社外取締役に独立性がないと判断される場合には当該候補者、取締役会に独立性のある社外取締役が一定の割合を占めない場合には経営トップに対し反対するケースがみられた。

(7)買収防衛策

 買収防衛策を廃止する企業が増える傾向にあるが、継続議案には原則反対とする機関投資家が多い。ただし、取締役会メンバーに独立性のある社外取締役が過半数いれば許容する国内機関投資家もみられる。また、エーザイのように株主総会で議案として上程しない企業に対しては、取締役選任議案に対して反対を意思表示する機関投資家もみられた。なお、ISSとグラスルイスによれば、本年総会シーズンにおいて買収防衛策議案に賛成を推奨した事例は1件もなかったとのことである。

6.おわりに

 次期株主総会に向けてガバナンス関連のテーマとしては、社外取締役の人数・割合や政策保有株式の状況等に注目が集まるであろう。また、CGコード改訂の影響を受けて、取締役会のダイバーシティやスキル・マトリックスにも一層の関心が高まるとみられる。米国では、ISSは既に取締役会に女性の選任を必須としているが、2022年からは「人種と民族」(Racial & Ethnic)のダイバーシティも助言方針に追加される予定である。

 環境面においては、世界的に“セイ・オン・クライメート”、いわゆる企業の気候変動への取組みや戦略方針等について定時株主総会で意見表明(Advisory Vote)の機会を設ける議案が増えている。これまで気候変動については情報開示の充実を求める株主提案が中心であったが、サステナビリティの視点から2030年を目標年度とするSDGsや2050年に向けたパリ協定を意識した戦略・ロードマップの策定や温室効果ガス(GHG)排出削減の目標設定等を求める提案が、株主側からだけでなく会社側からも出されており、日本企業に対しても提案の機会が増える可能性がある。かつて米国では“セイ・オン・ペイ”(役員報酬の株主総会での決議)制度の導入をきっかけに企業と株主とのエンゲージメント活動が活発化したことから、セイ・オン・クライメートも今後国際標準になるにつれて建設的な対話の重要性が一層増すであろう。

 また、本年6月総会においてもバーチャル総会開催企業の増加、CGコード改訂を踏まえた機関投資家向け議決権行使電子行使プラットフォーム採用企業の増加、個人株主向けスマートフォン行使の採用企業の増加に伴う電子行使率の上昇等が目立ったが、2022年にも施行が見込まれる株主総会資料の電子提供制度等により株主総会プロセスのDX化がさらに加速するとみられる。

 ▽注1:指名委員会等設置会社の場合は指名委員の取締役再任にも反対。また、代表取締役が改選期でない場合は社内取締役の選任に反対。
 ▽注2:グラスルイスは、2020年に女性役員の選任を必須とする対象企業をTOPIX100から東証1部および2部上場に拡大している。
 ▽注3:本稿における意見などは、あくまでも個人的な見解であり、筆者の所属する会社および組織を代表するものではありません。