メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

辻法務事務次官の仙台検事長転出は次の次の検事総長含み?

勤務延長人事と検察庁法改定廃案で混乱を招いた責任は不問?

村山 治

 9月3日発令の法務省人事で、法務事務次官の辻裕教氏(司法修習38期、59歳)が仙台高検検事長に転出することになった。来夏、検事総長含みで東京高検検事長に就く可能性が高いとみられる。辻氏は昨年1月、安倍政権の意を受け、当時の黒川弘務東京高検検事長(35期、64歳)の勤務延長人事などを主導したとして検察内外の批判を受け、その処遇が注目されていた。

名古屋入管問題処理で遅れた人事

拡大松江地検検事正着任時の辻裕教氏=2013年7月9日、松江市母衣町
 9月13日に63歳の定年を迎える中川清明・名古屋高検検事長(司法修習36期)が9月3日付で勇退するのに伴う人事。中川氏の後任には大場亮太郎・仙台高検検事長(38期、61歳)。その後任として辻氏を充てる。辻氏の後任の事務次官には高嶋智光官房長(41期、59歳)、後任官房長には、松本裕・出入国在留管理庁次長(43期、56歳)を充てる。

拡大津地検検事正着任時の松本裕氏=2019年1月21日
 辻氏の仙台高検検事長転出を含め、今回の人事の大筋は7月16日付の人事の際に決まっていたとされる。発令が遅れたのは、玉突きで官房長に起用する予定の松本氏が、名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさんが収容中に死亡した問題の対応で身動きできなかったためだ。

 この問題について出入国在留管理庁は、ウィシュマさんが医療機関での診察を求めても現場の職員が必要ないと判断するなど適切な治療を行う体制が不十分だったとする最終報告を8月10日に公表。局長ら幹部4人を訓告などの処分とした。

順風満帆のエリート検事

 辻氏は1986年に検事任官。盛岡、名古屋、甲府の各地検などでの勤務を経て2001年、内閣司法制度改革推進準備室参事官。その後、法務・検察のエリートコースである刑事局総務課長から大臣官房人事課長、大臣官房長、刑事局長を歴任。19年1月法務事務次官に就任した。

 若いころから、将来の検事総長候補の呼び声が高く、人事課長を引き継いだ林真琴検事総長(35期、64歳)の側近といわれた。

 しかし、17年夏、安倍政権は、当時の法務・検察が検事総長の本命としていた刑事局長の林氏の法務事務次官起用を拒絶。政権に近いとされていた同期で官房長の黒川氏を次官に起用した。辻氏は黒川氏の後任の官房長に起用され、黒川氏の直属の部下となった。

 法務省は、黒川氏の次官起用の際、政権との間で1年で林氏に交代するとの約束ができたと受け止めていたが、政権は林氏を次官に起用することなく18年1月、名古屋高検検事長に転出させた。そのころから、林氏と辻氏はぎくしゃくした関係になったとされる。

 政権は19年1月、黒川氏を検察ナンバー2の東京高検検事長に起用。刑事局長だった辻氏は黒川氏の後任の事務次官に昇格した。

筋悪の勤務延長を起案

 人事などで政権との折衝窓口を務めることになった辻氏は、黒川氏の63歳の定年(20年2月8日)を数か月後に控えた19年秋、法務・検察の総意として黒川氏を東

・・・ログインして読む
(残り:約2435文字/本文:約3740文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

村山 治

村山 治(むらやま・おさむ) 

 徳島県出身。1973年、早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。2017年11月、フリーランスに。この間、一貫して記者。
 金丸脱税事件(1993年)、ゼネコン事件(93、94年)、大蔵汚職事件(98年)、日本歯科医師連盟の政治献金事件(2004年)などバブル崩壊以降の政界事件、大型経済事件の報道にかかわった。
 著書に「安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル」(文藝春秋)、「市場検察」(同)、「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争」(朝日新聞出版)、「検察: 破綻した捜査モデル」(新潮新書) 。共著に「ルポ 内部告発」(朝日新書)、「田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察『栄光』の裏側」(朝日新聞出版)、「バブル経済事件の深層」(岩波新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

村山 治の記事

もっと見る