勤務延長人事と検察庁法改定廃案で混乱を招いた責任は不問?
2021年09月03日
9月3日発令の法務省人事で、法務事務次官の辻裕教氏(司法修習38期、59歳)が仙台高検検事長に転出することになった。来夏、検事総長含みで東京高検検事長に就く可能性が高いとみられる。辻氏は昨年1月、安倍政権の意を受け、当時の黒川弘務東京高検検事長(35期、64歳)の勤務延長人事などを主導したとして検察内外の批判を受け、その処遇が注目されていた。
この問題について出入国在留管理庁は、ウィシュマさんが医療機関での診察を求めても現場の職員が必要ないと判断するなど適切な治療を行う体制が不十分だったとする最終報告を8月10日に公表。局長ら幹部4人を訓告などの処分とした。
辻氏は1986年に検事任官。盛岡、名古屋、甲府の各地検などでの勤務を経て2001年、内閣司法制度改革推進準備室参事官。その後、法務・検察のエリートコースである刑事局総務課長から大臣官房人事課長、大臣官房長、刑事局長を歴任。19年1月法務事務次官に就任した。
若いころから、将来の検事総長候補の呼び声が高く、人事課長を引き継いだ林真琴検事総長(35期、64歳)の側近といわれた。
しかし、17年夏、安倍政権は、当時の法務・検察が検事総長の本命としていた刑事局長の林氏の法務事務次官起用を拒絶。政権に近いとされていた同期で官房長の黒川氏を次官に起用した。辻氏は黒川氏の後任の官房長に起用され、黒川氏の直属の部下となった。
法務省は、黒川氏の次官起用の際、政権との間で1年で林氏に交代するとの約束ができたと受け止めていたが、政権は林氏を次官に起用することなく18年1月、名古屋高検検事長に転出させた。そのころから、林氏と辻氏はぎくしゃくした関係になったとされる。
政権は19年1月、黒川氏を検察ナンバー2の東京高検検事長に起用。刑事局長だった辻氏は黒川氏の後任の事務次官に昇格した。
人事などで政権との折衝窓口を務めることになった辻氏は、黒川氏の63歳の定年(20年2月8日)を数か月後に控えた19年秋、法務・検察の総意として黒川氏を東
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください