新たな秘密ファイル「パンドラ文書」で判明
2021年10月04日
チェコ、ヨルダン、ケニア、イギリスなど世界各国の現旧首脳35人を含む91の国・地域の政治家や高官たち336人と租税回避地(タックスヘイブン)の関わりが、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が新たに入手した1190万件の秘密電子ファイルで明らかになった。5年前に世界に衝撃を与えた「パナマ文書」の2~3倍規模。ICIJはこのファイルを「パンドラ文書」と呼ぶことにした。
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ICIJのジェラード・ライル事務局長によれば、これらの電子ファイルは、何回かに分け、数カ月かけてもたらされた。情報源は一人。情報源はICIJに対し、匿名とすることを求めているが、そのほかには条件を付していない。情報源は、各国の政府当局にこの文書を調べてほしいと希望しており、そのためにICIJにこれらを提供したと言っているという。
ICIJとライル事務局長は2011年から、租税回避地に関する秘密ファイルに基づく取材・報道を続けており、2013年に「オフショア・リークス」の記事を発信。続けて2014年に「ルクセンブルク・リークス」、2016年に「パナマ文書」、「バハマ・リークス」、2017年に「パラダイス文書」を発信した。
今回の「パンドラ文書」について、ICIJはこれまで2年かけてその内容を精査してきた。ICIJの呼びかけに応じて、117の国・地域から150の報道機関、600人のジャーナリストがこれの分析と取材に参加し、これは一つの調査報道チームとしては史上最大だ。日本からは朝日新聞と共同通信の2社が日本国内に関係する個人や企業の取材にあたっている。
報道開始 | ファイルの大きさ | ファイル件数 | 現旧国家首脳 | 政治家や高官 | |
---|---|---|---|---|---|
パナマ文書 | 2016年4月 | 2.6 テラバイト | 1150万 | 12人(報道開始後14人に) | 140人 |
パラダイス文書 | 2017年11月 | 1.4 テラバイト | 1340万 | 14人 | 127人 |
パンドラ文書 | 2021年10月 | 2.94 テラバイト | 1190万 | 35人 | 336人 |
パナマ文書の報道が2016年4月に始まったときに、租税回避地とのつながりが明らかになった公職者は140人で、このうち現旧の国家指導者は12人だった。のちの取材で別の2人の首脳の関わりも分かり、合計14人となった。パラダイス文書では、鳩山由紀夫・元首相ら12カ国の現旧首脳14人を含む47カ国の現旧要職者・要人、127人の名前があった。パンドラ文書からは、パナマ文書、パラダイス文書の3倍近くの人数の現旧首脳、2倍余の人数の現旧政治家・高官と租税回避地の関わりが見つかっている。
パンドラ文書で租税回避地とのつながりが判明した35人の現旧国家首脳の内訳は、ヨルダンのアブドラ国王、ケニアのケニヤッタ大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、エクアドルのラソ大統領、英国のブレア元首相ら。
これについて、ICIJやその提携先報道機関はバビシュ首相の広報官に詳細な質問を送ったが、返答はなかった。その上、ICIJと提携するチェコの非営利報道機関「チェコ調査報道センター」とフランスのルモンド紙、ドイツの公共放送NDRは9月29日に予定されていた選挙集会の取材から締め出された。翌30日、記者たちはバビシュ首相をその視察先で直撃取材したが、首相は質問に答えなかった。
ケニアのケニヤッタ大統領とその親族は、パナマの法律事務所から流出した資料によれば、パナマに2法人、英領バージン諸島に5法人を所有していた。このうちの1法人は英国ロンドンに邸宅を保有。別の2法人は数千万ドル(数十億円)規模の投資をしていた。
ロシアのプーチン大統領と愛人関係にあると報じられた女性が租税回避地の法人を通じて南欧モナコで不動産を購入していたことも、ICIJと提携するワシントン・ポスト紙の取材で判明した。2003年4月2日、「Brockville Development Ltd.」という名前の法人が英領バージン諸島で設立され、数カ月後、同法人はモナコのマンションを360万ユーロで購入した。ワシントン・ポスト紙の取材と分析の結果によれば、同社の実質的支配者だとされているのが、プーチン大統領の愛人だったとロシアののオンラインメディアで報じられた女性だった。
パラダイス文書では鳩山元首相を含め日本の元国会議員3人と租税回避地の法人との関わりが見つかったが、パンドラ文書につ
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