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大和銀行NY支店巨額損失事件の教訓を学ぶライブトーク動画

 


 朝日新聞社の言論サイト「論座」と「法と経済のジャーナル AJ」の編集部は11月17日夜、「大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件の教訓 バブル経済事件に学ぶリスク管理」と題して、インターネット上でトークライブを開催しました。大手銀行の役員らに830億円もの損害賠償を命ずる判決が株主代表訴訟の大阪地裁法廷で言い渡され、リスク管理体制、内部統制、適時開示、コンプライアンスなど、今日に続く企業統治改革の重要な契機となった事件です。と同時に、大蔵省を頂点とする護送船団型の行政スタイルを終わらせた事件でもあります。この事件とその影響について、朝日新聞の奥山俊宏編集委員とジャーナリストの村山治さんが語り合い、後半ではズームのウェビナー機能を用い、参加の皆様と質疑を交わしました。その模様を録画したビデオのうち、前半がこの原稿の冒頭に掲載しました動画です。後半の動画はこの原稿の末尾にパワーポイントスライドのPDFファイルとともに掲載しています。

大和銀行と大蔵省は何をなぜ失敗したのか

 2000年9月20日に大阪地裁で言い渡された大和銀行株主代表訴訟の判決は、日本の経済界に衝撃を与えました。大和銀行の藤田彬元頭取ら11人に総額830億円もの巨額の支払いを命じただけでなく、その理由として、裁判所が次のように言いきったからです。

 被告藤田彬らは我が国の経済が発展し地球規模に拡大しているにもかかわらず、我が国内でのみ通用する非公式のローカル・ルールに固執し、大蔵省銀行局長の威信を頼りとして大和銀行の危機を克服しようとして、米国当局の厳しい処分を受ける事態を招いたものである。(大阪地裁判決書264ページ)
 取締役は取締役会の構成員として、リスク管理体制を構築すべき義務を負い、さらに、代表取締役及び業務担当取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているか否かを監視する義務を負うのであり、これもまた取締役としての善管注意義務及び忠実義務の内容をなすものと言うべきである。(同上188ページ)

 大和銀行の役員たちは、ニューヨーク支店の行員が簿外の米国債取引で数百億円単位の損失を出していたのにそれを見逃してしまった責任、さらに、その行員から1100億円の損失発生を告白する手紙を受け取りながら、2カ月近くにわたって、米国当局への届けを怠った責任を問われたのです。この報告遅れを隠蔽であり、犯罪であるとみなされ、大和銀行は米国から追放され、358億円の罰金を科されました。元取締役ニューヨーク支店長は実刑判決を受けて米国で服役しました。当時の役員11人が株主代表訴訟の一審判決で計830億円という空前の損害賠償を命じられました(のちに控訴審で2億5千万円の支払いで和解)。この報告遅れに大蔵省の西村吉正銀行局長らが関与していた事実も発覚し、この事件は、大蔵省をトップとする戦後日本経済の護送船団型統治システムの基礎を突き崩し、また、日本の企業統治を抜本的に改めさせる、そのきっかけとなりました。

 取締役の職務執行の法令適合や会社の業務の適正を確保するための内部統制システム(リスク管理体制)構築を大会社に義務づけた会社法が2005年夏に制定され、2006年5月に施行されました。内部統制報告書の提出を上場企業に義務づけた金融商品取引法は2006年6月に制定され、2007年9月に施行されました。

 それにしても、大和銀行の藤田頭取らが2カ月近くも損失を「隠した」のはなぜか。大蔵省の西村銀行局長との間で何を謀議したのか。米国の金融当局、捜査当局、日本銀行にそれを報告せず、口止めを徹底したのはなぜか。大蔵省銀行局長だった西村さんと彼の晩年まで対話を重ねてきた村山さんと、衝撃の代表訴訟を現場で取材した奥山記者が、事件発覚後20年余りにして初めて浮かび上がってきた真相、そして、今後に生かすべき教訓に迫りました。

 参加者からはQ&A機能で質問が寄せられ、その多くに奥山記者と村山さんから答えました。

 1996年まで5年間、商社の駐在員としてニューヨークで勤務していたという男性からは「事件が起きた時『やっぱり大和か』と思いました」との声が寄せられました。

 ライブトーク後に直接、メールと電話で連絡を取り合ってその78歳の男性からお話を聞いたところによれば、ニューヨークの勤務先の事務所で、現地採用の社員が大和銀行の当座預金口座の取引明細書がずさんだとこぼしているのを耳にして、「それは銀行としては致命的だな」と会話したことがあったとのことでした。そのため、1995年9月、ある朝起きたとき、NHKの海外向けの放送で事件を知り、「やっぱり大和か」と思ったとのことです。と同時に、「都市銀行というのは、1千億円の損失にもビクともしないとは、すごいな」とも感じたということでした。

 Q&Aのほかに、チャット機能で以下のような声が寄せられました。

 おお、伝説の告白状原本(複写)!!
 決断をしない日本のエリート(経営陣)の典型ですね。敗戦の際の日本のエリートの立ち居振る舞いと重なるものがありますね。
 上意下達の官民関係からは、民の説明責任の欠如をもたらしたのでしょうね‼️
 当時の監査、検査状況はとりわけ海外支店については極めて弱く、物見遊山、退職近くのご苦労さん旅行の状況でした。したがって最低限のチェックもされていなかった。いわば未成熟な企業コンプライアンス
 当時も、今も、取り締まらない役、監査しない役というの状況は大きく変わっていないのではないでしょうか。ちなみに、日本の監査役というのは、海外の方にはなかなか理解されない存在されないのではないでしょうか。
 こういう事件があって担当取締役が逮捕されたり、市場から会社が追放されたりした実例がでたから、今後の日本社会で平取締役や従業員が声を上げやすくなったとも思いますよ。
 井口さんは米国の7日間ルールを知らなかったのでしょうか。郵送の手紙での告白で無く、なぜ電話でなかったのでしょうか。バブルの頃証券会社に勤めていましたが、MOF(大蔵省)の横柄さは呆れるほどでした。大した役職で無い人でも。なので、MOFと銀行取締役とのコミュニケーション不足の問題においては、想像がつき、到底MOFを擁護できません。
 取締役会は儀式であり、執行役会でどう説明するかを決定しているのは、今でも同じ
 藤田さんは大阪にいたので、MOF(大蔵省)との接点がよわい
 私も、MOF(大蔵省)を担当していたが、西村さんの発言は、責任回避の常とう句で、任せるよとの趣旨、
 7日間ルールは大和銀行は、ダイワトラストNY事件で国際部門は充分に認識していたというか、常識
 要は、国内部門がアメリカをなめていた結果の事件です
 大和銀行の当時の頭取が管理部門上がりで、現業の経験が主でない方だった・・・・それが日本の銀行ならではですね。
 西村さんは、国内だから、知らなかったと思う
 国際部門では、常識
 井口さんの事件はありふれた内容で、これはこれでしょうがない。だけれど、一番の問題は隠ぺいですよね。米国では一番重く見られていること。
ダイワトラストの処理でもみ消せたので、もみ消せるとおもったのでしょ
 米国に出る重要性が組織内で認識されていなかったのではないでしょうか
 大和の企画担当は、大阪で、東京企画部の人間とちがう

 論座(全ジャンルパック)もしくは朝日新聞デジタル(プレミアムコース、ダブルコース)の購読者は以下のリンク先から、ライブトークで用いたパワーポイントのスライドの一部をPDF化したファイルをダウンロードすることができます。

 「全体スライド」
 「『告白』の手紙を受けての大和銀行の対応」
 「なぜ不正は長年見過ごされたか?」
 「企業不祥事の潮流」

 法と経済のジャーナル(AJ)は朝日新聞社のインターネット新聞(ニュースサイト)として2010年7月21日に原稿の発信を始め、今年6月1日、朝日新聞社の言論サイト「論座」の下に引っ越しました。AJの創刊11周年と論座への合流を記念して、インターネット上で記者イベントを毎月開催することにしました。その第5回となったのがこの11月17日夜の本イベントでした。

 論座AJのオンライン記者イベントは「論座AJライブトーク」として、今後も来年(2022年)3月まで月1回、毎月第3水曜日夜に開いていく予定です。第6回は12月15日(水)午後7時から「田中角栄内閣発足 50年を来年に控えて アメリカ発 ロッキード事件をいま改めて検証する」と題して開催する予定です。参加のお申し込みはこちらのサイトで:https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11006311

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 以下の動画は、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件に関する11月17日夜のライブトークを収録したビデオの後半です。論座(全ジャンルパック)もしくは朝日新聞デジタル(プレミアムコース、ダブルコース)ご購読の上でご覧く

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