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老人ホームで85歳意識消失で長野県警、業過致死事件と疑いながら解剖せず

老人ホームのおやつ提供で過失責任を問われた看護職員(4)

出河 雅彦

なった。検視などでいったんは「事件性なし」と判断して調査法解剖を実施し、その後事件による死亡の疑いが出てきて司法解剖に切り替えられることもあるため、死因不明死体はできるだけ解剖を実施することが望ましいことは言うまでもない。筆者の問い合わせに対して警察庁が回答した、調査法解剖から司法解剖への移行件数は以下のとおりである。

 2013年 1件
 2014年 3件
 2015年 3件
 2016年 1件
 2017年 0件
 2018年 1件
 2019年 1件

 この数字を見るだけでも、死体の外表検査を主とする検視の限界、事件捜査における解剖の重要性が理解できる。ところが、長野県警は死因・身元調査法が施行されてから9カ月後の2014年1月に亡くなったKさんの遺体の解剖を行わなかった。Kさんの死亡前から捜査を始めていたにもかかわらず、何を根拠に「解剖は不要」と判断し

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