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経済制裁対象のロシア富豪がタックスヘイブン法人で財産移動

ICIJが「パンドラ文書」を分析、「ロシア・アーカイブ」に

奥山 俊宏

 タックスヘイブン(租税回避地)から流出した秘密ファイル「パンドラ文書」に、800人以上のロシア人の法人の情報があることが、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、International Consortium of Investigative Journalists)の分析でわかった。ロシアのプーチン大統領に近い「オリガルヒ」と呼ばれる実業家で、日本など西側諸国の経済制裁の対象となっている人物に関連する法人が含まれており、タックスヘイブンの匿名性を隠れみのにした制裁逃れを許す結果になりかねないと心配する声もある。ICIJは11日(日本時間では12日)、これらの法人情報を「オフショア・リークス・データベース」に加えて公開した。

▽取材・執筆:Scilla Alecci, Nicole Sadek, Jelena Cosic, Agustin Armendariz, Delphine Reuter, Karrie Kehoe, Miguel Fiandor, Margot Williams, Emilia Díaz-Struck

▽和訳・再構成:奥山俊宏

▽関連記事:チェコ首相、ヨルダン国王、ケニア大統領ら各国現旧首脳35人が租税回避地とつながり 新たな秘密ファイル「パンドラ文書」で判明

▽関連記事:パンドラ文書とICIJをめぐるQ&A

▽関連資料:オフショア・リークス・データベース

 

拡大ICIJ作成

 米ワシントンDCに事務所を置く調査報道記者のネットワーク組織、ICIJは、タックスヘイブンで法人や組合を設立したり維持したりする登記の実務を担っている世界各地の14の業者・法律事務所から流出したそれらの内部文書1190万件、2.94テラバイトを入手して「パンドラ文書」と名付け、朝日新聞など各国の報道機関とともに分析と取材を重ね、昨年10月に記事の発信を始めた。ICIJはその後も、なかでもロシアとの関連に注目して分析と取材を続け、「ロシア・アーカイブ」としてこの11日(日本時間では12日午前1時)に、把握できた内容を発信することにした。

モルダショフ氏

 名前が見つかった一人は、アレクセイ・モル

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筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。2023年から「Atta!」編集人。

 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。

 そのほかの著書として『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)、『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。

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※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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