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東京地裁、保存ルールに違反 オリンパス内部通報訴訟の記録を廃棄

奥山 俊宏

 著名な訴訟の記録のほとんどが裁判所によって廃棄されていた実情を改めようと2020年に「主要日刊紙2紙以上に終局に関する記事が掲載された」など記録永久保存の基準を明確化する運用要領が定められたのに、それより後の昨年(2022)2月に、精密機器メーカー、オリンパスによる内部通報者への制裁的人事をめぐって争われ、すべての主要紙で報道された訴訟の記録が東京地裁によって廃棄されていたことがわかった。明確化された基準に従えば自動的に永久保存に付されるはずの記録で、原告は「どうして?」と憤っている。基準明確化だけでは是正が不十分な現状を裏付けている格好だ。神戸家裁で昨年10月、連続児童殺傷事件の「少年A」の記録が廃棄されていたことが発覚し、これをきっかけに最高裁は有識者委員会を設け、記録保存のあり方の検討を進めており、その議論にも影響を与えそうだ。

「プロセスが重要なのに…」

記者会見する浜田正晴さん=2016年2月18日、東京・霞が関で
 廃棄が明らかになったのは、オリンパス社員だった浜田正晴さん(62)が同社を相手取って2012年に起こした訴訟の原・被告双方の準備書面や証拠を綴じた記録。和解調書の原本は分離されて保存されている。

 浜田さんは、各地の裁判所で事件記録の廃棄が問題になっているとの報道を見て、先月27日、自分の訴訟の記録が特別保存(事実上の永久保存)に付されているかを東京地裁に問い合わせた。東京地裁のウェブサイトでは、「主要日刊紙のうち2紙以上に終局に関する記事が掲載された事件」は、要望の有無にかかわらず特別保存に付すと明記されている。浜田さんは、自分の訴訟はこれに合致しており、当然、記録も保存されている、と安心していたという。

 ところ

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