2010年09月09日
業務の柱は「内部告発者サービス」。病院の不正を内部告発するかどうか思案する人の相談にのる。内部告発者になるとはどういうことか、どのようにして弁護士を見つけ、政府と協働するか……。
同社のホームページには「私たちは成功した内部告発者です」とある。「私たちの豊富な経験で、あなたが不正を是正・通報するのを指導・支援できます。私たちには現実の世界での経験があります」
シリングさんは、勤め先だった大手病院チェーンの健康保険不正請求を政府に内部告発して、もう一人の別の内部告発者とともに計1億ドル(100億円超)の報奨金を受け取った。そして、取り分のうち4割を弁護士報酬に回したという。巨額の報奨金が入る可能性がある内部告発者訴訟を支援するサービスはビジネスの対象にもなりうるのだ。
内部告発者に報奨金を渡す制度の導入を日本に勧める意見もある。
大阪市の繊維メーカー「東洋紡」を相手取った訴訟で原告の内部告発者の代理人を務めるスティーブン・コーン弁護士は、ワシントンDCの非営利組織「全国内部告発者センター」の事務局長でもある。「真に内部告発者を保護すべきだと考えるならば、この制度を持つべきだ」
そして、コーン弁護士は付け加えた。「日本の人も、米国政府との契約でウソをついている日本企業を内部告発すれば(米国の制度で)報奨金を得られる可能性がある。そうした不正請求を知る人はどなたでも私たちにご連絡を」
▽筆者:奥山俊宏
▽この記事は2008年10月3日の朝日新聞朝刊の第3総合面に掲載された原稿に加筆したものです。
▽内部告発 in アメリカ(1): 億万長者になった「スパイ」、病院チェーンの不正請求を政府に
▽内部告発 in アメリカ(2): 公金1兆3千億円を回収、内部告発者の協力で
▽内部告発 in アメリカ(3): 日本企業も被告、内部告発者が原告となり、米司法省も訴訟参加
▽内部告発 in アメリカ(5): 「日本も通報者にメリットを」との意見も
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