2010年09月13日
日本でも公金の不正は蔓延(まんえん)している。防衛装備で不正請求が発覚して国庫に返された金額はこの10年余で1千億円を超える。
内部告発を迷う人の相談にのった経験のある公益通報支援センターの阪口徳雄(とくお)弁護士は、内部告発者に回収額の1割を報酬に払う法律の制定を提案する。そして、「もしそれが日本の風土に合わないというのなら、『国民代表訴訟』の制度を新設するべきだ」と付け加える。
地方自治体の損害は住民訴訟で、企業の損害は株主代表訴訟で、住民や株主が賠償を請求できる。ところが、国についてはそうした制度がない。「国の役人が不正をしても、企業が国に損害を与えても、放置されている」と阪口弁護士は現状を嘆く。「国の損害を回収するには、是正の武器を国民一人ひとりに与えるべきだ。『国民代表訴訟』の制度を新設し、同時に、内部告発者に一定の権利を与えれば、税金の無駄遣いはなくなるだろう」
▽筆者:奥山俊宏
▽この記事は2008年10月4日の朝日新聞朝刊の第3総合面に掲載された原稿に加筆したものです。
▽内部告発 in アメリカ(1): 億万長者になった「スパイ」、病院チェーンの不正請求を政府に
▽内部告発 in アメリカ(2): 公金1兆3千億円を回収、内部告発者の協力で
▽内部告発 in アメリカ(3): 日本企業も被告、内部告発者が原告となり、米司法省も訴訟参加
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