メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

(上) 本業逸脱、きしむ信頼 金融不安で肥大化

 

織田 一

 日米欧の中央銀行が苦境に陥っている。次々に噴き出す金融危機やデフレ退治のためにフル回転し、本来の金融政策の垣根までも超えたためだ。経済への影響力は強大になった半面、財務体質は悪化し、信認を失いかねない事態に直面している。中銀の「変容」を追った。

(編集委員・織田一、ロンドン=有田哲文、ワシントン=尾形聡彦)

 ●金融不安で肥大化

 日本銀行は6月15日、成長分野への融資を促す新制度をまとめた。金利を上げ下げして物価を安定させ、経済活動をもり立てるのが中央銀行の本来の仕事。間接的とはいえ特定分野を育てるのは「オーソドックス(伝統的)な中銀の業務ではない」と白川方明総裁自身も認める。

 実は、「非伝統」は白川総裁にとって

・・・ログインして読む
(残り:約2272文字/本文:約2585文字)