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製品事故、対策半ば パロマ元社長に有罪判決

 パロマ工業製のガス湯沸かし器による死傷事故で、東京地裁判決は、元社長らが事故防止の注意義務を怠ったと認定した。販売後の安全対策を求める判決を、各企業は厳しく受け止める。この事故などが設立のきっかけとなった消費者庁は、暮らしの中の事故情報の集約に努めるが、いまだ実を結んでいない。

 

 ●企業 トップ責任「当然」の声 流通拡大、回収は難問

 「製造時に十分な安全対策を取ればよいと考えていたが、この判決が基準になるならば、(社内基準を)考え直さないといけない」

 大手電機メーカーの幹部は11日、パロマ工業元社長の有罪判決を受けてこう述べた。

 判決は、経営者の刑事責任を厳しく問い、製品自体の欠陥はなくても、マスメディアを使っての注意喚起など販売後の安全対策を怠ったと指摘した。企業の中には、原因が修理業者による「改造」にあったことから、「危機管理を『どれだけ』『どこまで』広げるか、コストとの見合いからも極めて判断が難しい」(電機幹部)との声もある。

東京地裁に入るパロマ工業元社長の小林敏宏被告。後方は同社元品質管理部長の鎌塚渉被告=11日午後1時12分、東京・霞が関、長島一浩撮影東京地裁に入るパロマ工業元社長の小林敏宏被告。後方は同社元品質管理部長の鎌塚渉被告=11日午後1時12分、東京・霞が関、長島一浩撮影

 一方で、ガス業界の関係者は「事前に問題を知り得たのなら、トップが点検や改修、情報開示などを指示する必要があった。裁判所の判断は、決して厳しいとは思わない」。大手ビール会社の幹部も「トップまで責任が及ばなかった時代は過去の話。世界的な流れもあり、現代では通用しない」と述べた。

 ただ、広く流通した製品の回収には、限界もある。

 パロマと同時期に石油温風機で

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