2010年08月24日
▽筆者:小島寛明
▽関連記事: 海外5当局が同時調査 車の配線、日本企業カルテル容疑
業界に詳しい関係者によると、電線業界は長年、住友電気工業、古河電気工業、フジクラ、日立電線、昭和電線ホールディングス、三菱電線工業の大手を中心に強固な「横のつながり」を維持してきたといわれる。
さらに、自動車用配線のワイヤハーネスの分野では、世界トップクラスのシェアがある矢崎総業や、住友電工、古河電工が国内の上位を占めている。
公取委は2009年1月、東京電力など電力各社向けの特別高圧電力ケーブルを巡って受注調整を繰り返していた疑いで、電線大手各社が出資するメーカー3社の調査を始めた。
これをきっかけに、電線大手各社が子会社を含めた社内調査を開始。社内調査でカルテルへの関与が明らかになった分野について、順次、公取委に自主申告したとみられる。
2006年1月に始まったリーニエンシー制度では、公取委が調査を始める前に、1番目に自主申告すれば、課徴金が全額免除され、2番目以降でも減額の対象となる。ある企業の関係者は「リーニエンシーの適用を受けて、できるだけ自社への課徴金を減らすため、各社が公取委への駆け込み競争を繰り広げた」と指摘する。
この結果、公取委は今年2月までに、NTT向けの光ファイバー、建設会社向けの屋内配線用の電線、自動車各社向けのワイヤハーネスと、3分野でカルテルの疑いがあるとして、立て続けに調査に入った。
ワイヤハーネスの分野では日本企業が世界市場でもトップクラスのシェアを占める。このため、一部の企業が、リーニエンシー制度のある海外当局にも自主申告したことが、調査が米、欧州委員会など少なくとも五つの当局が調査に着手するきっかけになったとみられる。
問題の広がりを受け、電線を製造・販売する各社でつくる日本電線工業会
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