2010年08月23日
両弁護士は8月12日、虎ノ門法律経済事務所で記者のインタビューに答えた。
2人は東京弁護士会の民事介入暴力対策特別委員会の委員を務めており、高谷弁護士は2009年6月15日、同弁護士会の民事介入暴力被害者救済センターの当番弁護士として、事件の被害者であるY氏の相談を受け、翌16日に面談した。「ヤクザとみられる男たちが店の中にたむろして入れ墨を見せている」というのが相談内容だったという。
東京第四検察審査会が今年7月21日に公表した議決要旨によると、被疑者のT氏は、東京都渋谷区の飲食店の経営からY氏を排除し、売上金を喝取しようとくわだて、プロレスラーらと共謀の上、2009年6月13日夜、Y氏を怖がらせ、その日の夜は15万8760円、翌日の夜には15万7802円を喝取した、という疑いをもたれている。
相談が最初に寄せられたのは、その翌日にあたる。高谷弁護士は、警察に被害届を出すようにとY氏にアドバイスしたという。
店の経営をめぐるトラブルなど民事上の紛争ではなかなか警察は動いてくれないのがふつうで、高谷弁護士としては、このときもそんなに期待していたわけではなかった。しかし、あっさりと加害者らが逮捕されて、やや意外に思ったという。
「警察は、プロレスラーが暴力団ではないことはすぐに分かったはず。ならば、ふつう、いきなり逮捕はしない」
逮捕後まもなくT氏の側からY氏の側に示談(和解での解決)の申し入れがあった。高谷弁護士らは「和解にしたほうがいい」とY氏にアドバイスしたという。その和解交渉のため、7月21日、Y氏の代理人となることを引き受けた。
「被疑者らの逮捕・勾留中、横峯さんの代理人だと称する人が私のところに連絡を入れて、和解への働きかけがあった。それで、やっぱり横峯さんがからんでいるのか、どうやら横峯さんとTがつながっているらしい、と思った」
7月下旬には和解の案までできていた。高谷弁護士らがY氏から聞いた話によると、Y氏は和解に応じて被害届を取り下げたい気持ちに傾きつつあったが、警察からは「この事件を挙げたい。我々も頑張っている」と取り下げを引き留められたという。検事からは「国民の義務」とまで言われたという。ところが、突然、検事の態度が変わり、「全員釈放する」と伝えられたという。
釈放されたことでT氏の側は強気に転じたように高谷弁護士らには感じられた。以後、和解が成立することはなかった。
「Yさんはそれが悔しくて。これでは死んでも死にきれない。ダメもとでいいから、検察審査会に出してくれ、ということになった。私たちとしても、本人の気が済むなら、ということで、アフターサービスのつもりで審査申立書を作って出した」
今年2月19日付で検察審査会に審査を申し立てた。しばらく検察審査会からは何の音沙汰もなかったが、2010年7月21日、電話があった。その日、議決要旨が公表された。
「あわてて議決要旨の紙を受け取りに検察審査会に行った」
「運が良かった。小沢一郎さんについて『起訴相当』が出た、そういう風に乗っかった面があるのかもしれない」
東京第四検察審査会の議決要旨は「結論」として「起訴相当の結論に至った」と書いた上で、「なお」と続け、横峯議員の関与に触れている。検察審査会の審査の対象として申し立てられていたのはT氏一人。横峯議員は当事者ではない。検察審査会が審査対象でもない特定個人をそれと分かる形で糾弾するのは異例である。
「『なお』以下は、筆が走ったという感じなんでしょうねぇ。どうしても書きたい、という思いがあったんでしょうか。行き過ぎという考え方もあるでしょう」
しかし、高谷弁護士は別の見方を示した。
「Tらが逮捕された当時は自民党の麻生政権だった。一方、民主党は取り調べの可視化を主張していた。(可視化に反対している)検察としては、自民党を支持していたと思う。ところが、衆議院が解散して、これはどう見ても確実に政権交代になる。そういう判断が(捜査や不起訴処分の背景に)あったとすれば、それはよくないですよね」
東京第四検察審査会の議決要旨は、昨年の捜査で横峯議員の聴取が行われなかったことをとらえて、「余りにも不公平、適正を欠く捜査である」と非難している。
高谷弁護士は指摘する。
「この検察審査会の議決要旨は検察批判として書かれている。起訴するつもりがあるから逮捕したんでしょう。それを土壇場で釈放した。そういう検察のぶれに警鐘を鳴らすという意味があるのならば、理解できる」
横峯議員を訴えるかどうかについては、まだ決めていない。
「検察審査会に出した審査申立書には実は横峯さんの話はほとんど書いていないんです。『寿司屋に集め……』というところについては事実をまったく知らなかった。横峯さんの関与を示すどんな資料があるのか我々もまったく知らない。横峯さんの関与の話は、我々にとっては、伝聞の域を出な
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