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日本企業も要注意のFCPA 米司法省が摘発強化

ロッキード事件で制定された海外腐敗行為防止法の苛烈な運用

山田 裕樹子

 外国公務員への贈賄行為に対する米当局の取り締まりが近年、厳しくなってきている。1970年代、日本の総理大臣ら米国外の公務員に対する米企業の贈賄行為が相次いで発覚したことを受けて、そうした行為を米国内法で処罰できるようにするためにFCPA(Foreign Corrupt Practices Act、海外腐敗行為防止法)は制定された。そのFCPAに基づく苛烈な摘発が最近になって相次いでいるという。取り締まりを強化してきた米国司法省の近年の姿勢からすれば、米国の企業がからんでいなくても摘発される可能性があり、日本企業もうかうかしていられないようだ。法務省刑事局国際課に局付検事として勤務した経験もある西村あさひ法律事務所の山田裕樹子弁護士がその実情と注意点を解説する。(ここまでの文責はAJ編集部)

 

海外進出の落とし穴
FCPA(海外腐敗行為防止法・米国)にご注意

西村あさひ法律事務所
弁護士 山田 裕樹子

山田 裕樹子(やまだ・ゆきこ)
 1994年、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。2000年、ハーバード大学ロースクール(LL.M.)修了。1997年から2008年まで検事。その間、東京地検、法務省刑事局国際課などで勤務。2004年から2007年まで外務省に出向して、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部で勤務。2008年7月、弁護士登録。クロスボーダー案件を中心に、企業危機管理、独占禁止法等についてアドバイスを行う。
 少子化、先行不透明な為替相場、及び、新興国の台頭等に伴う日本の競争力の低下が警鐘されて久しい。このような中、国内における成長にはいずれ限界が来ることを予測し、海外に目を向ける企業が相次いでいる。具体的には
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