幹事証券会社へのいら立ち見せる株主も
▽筆者:釆澤嘉高
▽この記事は2010年9月30日の朝日新聞夕刊に掲載された原稿に加筆したものです。
原告の代理人弁護士らからなる「エフオーアイ被害株主弁護団」が9月29日に記者会見して明らかにした。被害株主の年齢層は25~87歳。1人あたりの最高被害額は約3千万円だという。
同弁護団は、エフ社の株式が上場される前、粉飾を指摘する文書が東証に届いていたことなどを重視。訴状で「エフオーアイの粉飾は注意義務を尽くせば見破ることができた」「上場審査関係者の無責任なもたれ合いのなかで注意義務がおろそかになった」などと主張している。
株式上場にあたっては公認会計士、引受証券会社、証券取引所の三重のチェックが存在するとされているが、同弁護団の塚田裕二代表は「今回の事件で三重チェックの実態がまったく空虚であることがわかった。上場審査への信頼性を守るため、その実態が解明されなければならない」と訴訟の意義を説明している。
粉飾行為そのものとは別に、粉飾発覚後の証券会社による対応にいら立ちを募らせる被害株主もいる。
千葉県内のオフィスビル賃貸会社の顧問をしているという男性(69)は昨年11月、みずほインベの支店窓口で「値上がりが期待できる」と説明され、エフ社の株200株を購入した。その後、今年5月に粉飾が発覚。みずほインベには電話や文書で事実関係の説明を求めたが返答はなかったという。
「長年付き合ってきた証券会社だが、私の質問に対する回答は一切なく、一気に信用は落ちた。徹底的に戦う」
男性は、弁護団の記者会見に同席してそう語った。
今回の提訴について東証、みずほインベはそれぞれ「コメントできない」としている。東証は
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