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《訴状全文》年金基金など米国の投資家がトヨタを相手に集団訴訟

奥山 俊宏

 トヨタ自動車製の車の欠陥に関する情報が適切に開示されず、株価の下落で損害を被ったとして、トヨタの株主がトヨタや同社の張富士夫会長らに賠償を求める集団訴訟の統合訴状が10月4日、米カリフォルニア州ロサンゼルスの連邦地裁に提出された。トヨタが米国の証券取引法や日本の金融商品取引法に違反して、公開すべき情報を公開せず、投資家をミスリードしたために、投資家たちは割高な価格でトヨタの株を購入させられ、損を被ったというのが訴えの内容。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽関連資料:トヨタを相手取った集団訴訟の統合訴状(AJ購読者)


 原告は、2005年5月10日から2010年2月2日までの間にトヨタの株を購入した人たちで、メリーランド州退職年金基金が原告団長。原告の代理人弁護士として訴状に署名しているのはカリフォルニア州サンディエゴの弁護士。メリーランド州の司法長官やその部下もメリーランド州退職年金基金の弁護士として訴状に名を連ねている。被告はトヨタ自動車、張富士夫会長、渡辺捷昭副会長ら。109頁からなる訴状は4日、カリフォルニア中央地区連邦裁判所(http://www.cacd.uscourts.gov/)に提出された。

 訴状は「トヨタのブランドは品質と安全の上に築かれた。ところが、2000年以降、トヨタは姿勢を変えて、成長とコストカットを重視するようになった。被告は、意図せぬ加速の問題が隠されていることを知っていた、または、見逃していた」と主張。訴状によると、こうした問題があったにもかかわらず、トヨタは2000年以降も繰り返し、「世界最高水準の品質を維持している」「すべての国の法令に厳格に従っている」と投資家に約束したという。意図せぬ加速の問題は最終的に顧客の死傷事故とトヨタの株価下落を引き起こした、と訴状は主張している。

 訴状はその上で、米国の証券取引法や日本の金融商品取引法に言及し、「人為的につり上げられた価格でトヨタの株を購入させられ、結果的に相当の損失を被った」と主張している。トヨタは、日本の金融商品取引法(旧・証券取引法)に基づき、有価証券報告書や半期報告書などの書類を財務省の関東財務局に提出し、一般に公表している。これらの書類にもし仮に「重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているとき」は、トヨタは金融商品取引法第

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筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。近刊の著書に『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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