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新ジャスダック誕生、新興市場の低迷、打開できるか

 「アジア最大の新興市場」をうたい文句に、大阪証券取引所傘下の「ジャスダック」と「大証ヘラクレス」が統合し、12日から「新ジャスダック」として取引を始めた。新興市場はライブドア事件などの不祥事やリーマン・ショック後の金融危機で低迷が続く。起死回生の統合で、日本経済を元気にする企業を育てられるかが問われる。

  ▽筆者:溝呂木佐季、座小田英史

  ▽この記事は2010年10月13日の朝日新聞朝刊に掲載されたものです。インタビュー部分は2010年10月11日の朝日新聞朝刊(大阪)に出稿されたものです。

  ▽関連記事:   《弁護士ブロガー・山口利昭氏寄稿》新ジャスダック市場の始動にあたって


 ■新興市場でアジア最大 目標はナスダック

 「新市場を信頼性が高く、魅力ある市場に再構築していくことを約束します」。12日、東京都内のホテルで開かれた新市場開設記念パーティー。晴れ舞台であいさつにたった大証の米田道生社長は、会場を埋めた千人を超える関係者に誓った。

 新ジャスダック(JQ)は1005社が株式を上場し、全株式の時価総額は約8兆8千億円にのぼる。ライバルの韓国・コスダックの6兆2千億円や中国・深圳の創業板の6兆円を上回り、規模ではアジア最大の新興市場だ。

 とはいえ、東京証券取引所第1部、第2部を合わせた時価総額の約285兆円(9月末)には、はるかに及ばない。新JQに上場する企業のうち、株式の時価総額が1千億円を超える企業は、ネット商店街を運営する楽天(8千億円)、ケーブルテレビのジュピターテレコム(6200億円)など10社に満たない。

 新JQの目標は、グーグルやマイクロソフトなどの革新的な企業がそのまま上場し続けている米ナスダック。新興市場のマザーズを第1部への登竜門と位置づける東証とは一線を画す。ただ、ナスダックの時価総額は新JQの約30倍。今後、成長企業の上場を促し、投資家を引きつける魅力づくりが欠かせない。

 ■取引量、不祥事…課題は山積み

 国内の新興市場は2000年前後に相次いで誕生した。ベンチャー企業ブームもあり、当初は上場企業数や取引が順調に増えた。

新ジャスダック市場の取引開始を示すボード=12日午前、大阪市中央区、小玉重隆撮影新ジャスダック市場の取引開始を示すボード=12日午前、大阪市中央区、小玉重隆撮影
 しかし、06年、東証マザーズに上場していた旧ライブドアが
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