2010年10月20日
講演で、芝弁護士は、時系列に沿って体験を話していく。
東大法学部を出て、1991年(平成3年)4月、警察庁に入庁した。キャリアの警察官僚として、米エール大学大学院に留学したあと、29歳で神奈川県警の外事課長、100人近くを率いる組織の長となった。
部下の覚せい剤使用疑惑が報告された1996年12月13日、芝さんは「部下の不祥事で組織に迷惑をかけることとなってしまった」「組織の長として大変申し訳ない」との思いを痛切に感じた。「私の責任です。後はすべてお任せします」。そんな心境だった。いわば思考停止状態となってしまった。
県警本部長の判断は「事件を公にしないように」「不倫を理由に諭旨免職にしろ」だった。部下は覚せい剤使用の罪に問われることなく、職場を去っていった。「こういうふうに不祥事はもみ消すものなのか」。芝さんは、警察における組織防衛のあり方について、「洗礼を受けた」ような気分になった。
1999年秋、警察不祥事が続々と明らかになる中で、3年前の事件が明るみに出る。芝さんはそのとき、東京・霞が関
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