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EC競争当局者「制裁に国籍差別はない」「ここ数年で日本企業の姿勢が変化」

 欧米や日本の公正取引委員会をはじめ、世界の競争当局が国際カルテルの調査を強化している。世界で事業展開する日本企業が欧米の当局に摘発される事例も増えている。業界内の調和や協調を重んじてきた日本の企業風土は、欧米の競争当局の目には、どう映るのか――。世界の競争当局のカルテル担当者らが集まる「カルテル・ワークショップ」に参加するために今月上旬に来日した欧州委員会競争総局のポール・モーリック・スミス・カルテル担当局長代理(Paul Malric -Smith, Acting Director, Cartels, European Commission, Directorate- General Competition)に話を聞いた。

  ▽筆者:小島寛明

  ▽聞き手:小島寛明、奥山俊宏、村山治

  ▽インタビュー英文:   インタビューでのやりとりの英文(in English)

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欧州委員会競争総局のポール・モーリック・スミス・カルテル担当局長代理=10月6日、横浜市で、奥山撮影欧州委員会競争総局のポール・モーリック・スミス・カルテル担当局長代理=10月6日、横浜市で、奥山撮影
 ――今年のワークショップの成果は?

 これまで私が参加した中で、最も素晴らしいワークショップのひとつだと思う。新たに設立された競争当局はとくに、自分たちのメッセージを伝える点で、歴史のある当局よりも革新的だ。子ども向けのマンガをつくったり、映像をつくったりした当局もある。

 ――リーニエンシー制度(カルテルなどの違法行為を企業が当局に内部告発すると、その企業は制裁の減免を受けられる制度)が、日本でも2006年に導入されました。大規模なカルテルや談合を日本の公正取引委員会が摘発するうえで、かなりの効果がありました。リーニエンシー制度の効果を、どう考えますか。

 日本のリーニエンシー制度は成功していると理解している。日本企業はかつて、欧州連合(EU)の競争当局のリーニエンシーに参加するのに消極的だった。その結果、ほかの企業はリーニエンシー制度を利用して免責や制裁金の減免を受けたが、日本企業はそれをせず、制度の犠牲者となっていた。

 いまでは、日本企業の対応は完全に変化した。日本企業は、免責や制裁金の減免を求め、積極的にリーニエンシーを活用するようになった。日本でリーニエンシー制度が導入されたことが我々(EU)のリーニエンシー制度への積極的参加に関係があるのだろうと私は推測している。

 いまでは、日本の企業はEUのリーニエンシー制度で利益を得ている。

 ――いつから日本企業はEUのリーニエンシー制度に積極的に参加するようになったと感じていますか?

 正確な日付を指摘するのは難しい。しかし、ここ数年のことと推測している。徐々にそうなっていった。

 ――とても興味深いお話です。というのは、日本企業は、競争よりも、同じ業界内の協力や調和が大切だという考えが根強いと多くの人が考えているからです。調和を重視する日本のカルチャーをどう思いますか?

 リーニエンシー制度に参加することの意欲に違いはないと私は見ている。カルテルなどの反競争的な違法行為がもたらす被害は巨大だ。欧州だけでも毎年、巨額の被害がある。ある研究では、カルテルが結ばれた商品の価格は、10%から30%、あるいは、もっと高くなっているという試算がある。とても重要な数字だと思う。

 競争は、維持されるべきだ。競争法は経済成長や効率性、消費者の利益を守り、自由で公正な経済活動をもたらすために行使されるべきだ。

 日本企業がEUのリーニエンシーに積極的になったことを、私たちは歓迎している。日本企業には、様々な産業で指導的な立場にあるからだ。長期的には、日本企業は、競争と技術革新によってのみ、こうした地位を守れるのだと思う。

欧州委員会競争総局のポール・モーリック・スミス・カルテル担当局長代理=10月6日、横浜市で、小島撮影
 ――日本の公取委をはじめ、国際的な
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