2010年11月14日
▽筆者:贄川俊
▽この記事は2010年11月14日の朝日新聞朝刊に掲載されたものです。
県警によると、作業をした業者は、外壁が倒れないようにワイヤで支えたり、歩道に警備員を配置したりする安全策をしていなかった。また、鉄骨の解体に必要な資格者を現場に置かず、倒壊防止策を含む作業手順を定めた計画書も作っていなかったという。現在、業務上過失致死の疑いで解体業者を調べている。
ある解体業関係者は「こうした工事は日常茶飯事だ」と指摘する。業界では、不況で減った解体工事の奪い合いが続く。価格競争が激しく、この5年で1坪(約3・3平方メートル)あたり約3万円だった工事費の相場は半額程度に下がったという。それが、安全に必要な経費にしわよせされた。
同じ重機を複数の現場で使い回すため、狭い場所なのに大きな重機で作業することや、法で定められた安全管理の講習会に参加しないことは珍しくないという。
厚生労働省安全課によると、全国で2005年~09年に今回と同じように解体工事中の壁が倒壊し、少なくとも24人の作業員が壁の下敷きになって死亡した。
2005年4人 北海道、千葉、大阪2
2006年5人 福島、愛知、大阪2、兵庫
2007年4人 東京、京都、大分、沖縄
2008年5人 宮城、栃木、愛知、京都、兵庫
2009年6人 北海道、神奈川、滋賀、京都、大阪2
なぜ
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください