2010年11月25日
▽筆者:奥山俊宏
▽関連資料: 消費者委員会のウェブサイトへのリンク
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公益通報者保護法は、一定の要件を満たす内部告発を「公益通報」と定義し、勤務先の事業者は、公益通報をした労働者に不利益扱いをしてはならない、と定めている。小泉純一郎政権の下で、消費者庁の前身にあたる内閣府国民生活局が草案をまとめ、2004年3月に内閣の法案として国会に提出された。民主党は、この法案について、「公益通報者保護法案ではなく、公益通報抑制法案、公益通報思いとどまらせ法案であるという疑いが解消されるばかりか、ますます強くなった」(岡崎トミ子参院議員)などとして反対したが、2004年6月に可決・成立した。
同法は2006年4月に施行されたが、その附則には「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と定められており、来年春がその時期にあたる。法案を制定した際の衆参両院の附帯決議は、見直しにあたって通報対象事実の範囲や外部通報の要件などについて再検討を行うことを政府に求めている。このため、内閣府の消費者委員会は今年6月、公益通報者保護専門調査会を発足させて、議論を進めてきた。
これまでの調査会の議論の中では、法が保護対象とする内部告発の範囲を拡大したり、報道機関など外部への公益通報の保護要件のハードルを低くしたりするべきとして法改正を求める意見が目立っており、10月17日の日経新聞朝刊は「企業の内部告発者、脱税などでも保護、消費者庁、対象範囲の拡大検討」という記事を掲載し、「報道機関などに直接告発しやすいよう通報手続きも改める。2012年の通常国会に保護法の改正案を提出する方針だ」と報じた。
消費者庁も11月24日の会議に「専門調査会で出された意見等に対する消費者庁の考え方」と題する書面を提出し、その中で
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