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真実どこに? 裁判に寄せられる期待と不安 JR脱線初公判を前に

 JR宝塚線脱線事故で起訴されたJR西日本の山崎正夫前社長の公判が21日に始まる。乗客106人の命が失われた「責任のありか」を3回の連載で考える。その第2回。

  ▽この記事は2010年12月15日の朝日新聞夕刊(大阪)に掲載されたものです。

  ▽連載第1回:   安全と経営のはざまで、JR西・山崎前社長 初公判を前に

  ▽この連載は沢木香織、千種辰弥、小河雅臣が担当しました。

  ▽敬称・呼称は略しました。

 

 神戸地検が入る神戸法務総合庁舎1階の会議室。昨年9月から週2回、ここで一心に資料を書き写す女性がいる。藤崎光子(71)=大阪市城東区。2005年4月のJR宝塚線脱線事故で一人娘の中村道子(当時40)を亡くした。

 藤崎が目を凝らすのは、JR西日本前社長・山崎正夫(67)の裁判に備え、警察や検察が準備した証拠書類だ。ファイルで9冊分もあるが、コピーや撮影は許されない。夫を亡くした遺族の女性と分担して、閉庁時間の午後5時までペンを走らせる。書き写した資料はファイル7冊にもなった。

初公判にそなえて書き写した書類を読む藤崎光子さん=大阪市北区の被害者団体事務所
 資料には見過ごせない記述がいくつもある。「現場カーブは危ないと思っていたが、自動列車停止装置(ATS)を設置してほしいと言えなかった」と話すJR西運転士の証言や、「事故の責任は運転士にある」と捜査側に話すよう社員に指示したとみられるJR西の内部資料――。

 証言の主らが証人として次々と公判に立つ予定だが、同じことを法廷で語るか

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