2010年12月20日
▽この記事は2010年12月16日の朝日新聞夕刊(大阪)に掲載されたものです。
▽連載第1回: 安全と経営のはざまで、JR西・山崎前社長 初公判を前に
▽連載第2回: 真実どこに? 裁判に寄せられる期待と不安 JR脱線初公判を前に
▽この連載は沢木香織、千種辰弥、小河雅臣が担当しました。
快速電車の運転士が制限速度を46キロ超えて急なカーブに突っ込み脱線転覆したJR宝塚線(福知山線)の事故は、企業風土が招いたのではないのか――。JR西日本はそう自問しながら、改善の道を模索してきた。
「オーバーランした理由を書け」。脱線事故の5年前、男性運転士(51)は日勤教育で、上司から反省文を書くよう言い渡された。
「当日は雨が降っており……」。ペンを走らせ始めると、上司の怒声が飛んだ。「言い訳するな」
男性はそれから6日間、同僚運転士が立ち寄る場所で、30~40本の反省文を書き続けた。「なぜ確認を怠ったか」「他人のミスから何を学ぶか」。テーマは上司が気分で決めた。
「一緒に勉強しよう」。事故後、再び日勤教育を受けたこの運転士は、指導担当のベテラン運転士にそう言って迎えられた。
すべてが以前と違った。数十におよぶ失敗の事例を示され、人はなぜ間違えるのか、自身の失敗はどの傾向に当てはまるのか、考えた。向かい合って話すうちに頭が整理されていった。
研修施設「鉄道安全考動館」には
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