2010年12月21日
▽筆者:村山治
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■元主任検事の容疑
最高検は10月11日、前田恒彦・元大阪地検特捜部主任検事を証拠隠滅の罪で大阪地裁に起訴した(最高検は管轄の関係で大阪地検に事件を移送。起訴検事は大阪地検の検事)。
起訴状や最高検の説明によると、前田元検事は、2009年7月4日に村木さんを起訴したあとの7月13日、大阪地検で自分のパソコンにインストールしていたファイル管理ソフトを使い、郵便不正事件で逮捕した厚生労働省障害保険福祉部企画課元係長の上村勉被告=公判中=宅から押収したフロッピーディスク(FD)内の虚偽の証明書の文書ファイルの更新時間を「2004年6月1日、1:20:06」から「04年6月8日、21:10:56」へと変えるなどし、村木さんの刑事事件の証拠を変造した、とされる。
この虚偽の証明書は、上村係長が実態のない障害者団体宛に作成したもので、同団体が郵便割引制度を悪用して05年以降、約80億円の料金の支払いを免れる小道具として使われたとされる。元検事は改ざん3日後に、FDを元係長側に郵便で返却していた。
元検事は最高検に対し、「そのままFDを返却すれば、検察に不利な証拠だと気付かれる可能性があったため、改ざんした。公判が紛糾することを避けたかった」「改ざんしたFDデータを手元に置いておきたくなかった」などと供述しているという。
これらの供述から、最高検は、前田元検事の改ざん動機を、村木さんが企画課長だった04年6月初め、同団体代表から要求され、障害者団体との実態がないと知りながら、部下の上村勉元係長に5月28日付の虚偽の証明書を作らせ、同団体幹部が6月10日、割引適用を受けるため郵便窓口に提出した、とする検察側の起訴の筋立てに合わせるためだった、としている。
■FD改ざんは「できごころ」か
最高検は「前田元検事がFDの還付作業中に、FDのデータの改ざんを思いついた。相手側に返したときに気づかれるといやだな、ということで念のために変えておこうとした。それを積極的に立証に使おうという意思はなかった」と説明。押収資料の返却手続
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