2010年12月22日
▽この記事は2010年12月21日の朝日新聞夕刊(大阪)に掲載されたものです。
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■山崎前社長「何としても潔白を」
山崎前社長は午前10時に法廷に姿を現し、傍聴席に一礼して入廷した。起訴状の朗読時は弁護人の前の長いすに座り、口を結んで聴き入った。106人が死亡した場面になると、大きくつばをのみ込んだ。時折、大きく肩で息を吸い、眉をひそめた。
「106名もの尊い命を奪い、多くのお客様に大変なけがを負わせてしまいました。いかに無念だったか。ただただ深くおわび申し上げるほかありません」と述べた。しかし、「あえてATS(自動列車停止装置)を設置しなかったとの指摘については、非常なるショックを覚えている。何としても潔白を明らかにしたい。『努力なくして安全なし』をモットーに幅広く安全推進の取り組みをしてきた」と訴えた。
無罪を主張した山崎前社長は嘱託社員として、JR西日本本社ビルの一室に毎朝出勤している。事務机と応接セット、裁判関係の資料が収められた本棚があるだけの1人だけの空間。弁護士からの問い合わせの電話を受けたり、裁判で使う資料をまとめたりして過ごしている。
一方、事故当時の安全対策の責任者として、ほかの時間は、事故犠牲者の墓参りや遺族宅の訪問にあてている。延べ100人以上の遺族に会い、おわびを重ねてきた。月命日には必ず事故現場を訪れ、犠牲者を追悼している。
2009年7月に在宅起訴されて以降、健康状態がすぐれないという。法廷に立つことを考えるとなかなか寝付けず、睡眠薬が手放せない。本社の医務室で、定期的にカウンセリングも受けている。
■山崎前社長意見陳述要旨
JR宝塚線脱線事故の初公判で、山崎正夫被告(67)の意見陳述の要旨は以下の通り
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