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中国でのネット販売への参入規制の最新動向

 日本製品と中国の消費者を結ぶ「日中ネット通販」の時代が本格的に幕開けしたといわれている。内需の低迷に直面する日本企業がインターネットを用いて、中国の巨大の市場を相手にビジネス・トゥー・コンシューマー(B to C、一般消費者向け)の事業に乗り出そうとしている。この分野における中国国内の法整備は現在、急速に進みつつあり、一部で規制が緩和されてきているが、その解釈、あるいは、地方での運用など、一筋縄ではいかない面もあるという。西村あさひ法律事務所の中島あずさ弁護士が最新の動向を分析した。

 

中国におけるネット販売への参入
規制法規とその運用について

西村あさひ法律事務所
弁護士 中島あずさ

 ■はじめに

拡大中島あずさ(なかしま・あずさ)
 1996年、早稲田大学商学部卒業。2002年、弁護士登録(東京弁護士会)。2002年から2005年まで中国・北京で語学研修及び業務研修。日系企業の対中投資、中国における会社法務、M&A、コンプライアンス、労働法務、国際取引法務を担当。
 中国におけるネット販売は、C to C市場及びB to C市場ともに極めて順調に成長しており、その2009年の取引規模は2236億元(成長率で77%)、成長率では2010年には69%、2011年には50%超が見込まれるといわれている。

 特に、中国国内では、日本製品に対する高品質な商品イメージが存在することから、日系企業にとっての中国でのネット販売事業は、優位性のある商品ラインを揃えることができる点で追い風が吹いている状況ともいえ、常に大きな関心を集めているところである。

 しかし、関心の深さとは裏腹に、中国におけるネット販売事業への参入には、法的にも実務的にも様々な制約が存在しており、特に、外国資本を含む企業(外商投資企業)にとっては、必ずしも参入が容易な分野ではない。そのため実務上は、外商投資企業自身が許認可を取得することを諦め、ICP許可証を取得した内資企業をコントロールする方法でネット販売への参入を試みる、いわゆる「新浪スキーム」と言われる方法(なお、その法規への適合性は不明確である)による取組み例が散見されるなど、コンプライアンスとビジネスチャンスの狭間で苦慮する企業も多い。本稿では、中国におけるネット販売事業への参入に関する規制法規やその運用について概観する(なお、本稿では、中国法の観点から、中国国内においてネット販売に従事する際の規制等を中心に紹介することを目的としているため、日本から輸出販売する方法でネット販売に従事するケースについては検討対象から割愛している)。

 ■中国進出企業によるネット販売への従事パターン

 中国においては、外国企業が「直接に」中国国内で経営活動に従事することは原則として認められていない(輸出入等一定の行為を除く)。そのため、日本企業が、中国国内において商品をB to Cで販売する場合には、中国国内の主体を販売活動に従事させることが必要となる。これをネット販売について言うと、中国国内の主体を売り主として、中国においてB to Cの取引スキームを構築するということになる。中国におけるネット販売の多くはこのようなスキームで行われているが、外国企業が出資又は資本参加する現地法人(外商投資企業)がネット販売に従事するに際しては複数の行政部門が管轄する規制が存在することから、少なくともこれまでは、B to Cのネット販売に自ら従事することができている外商投資企業は多いとはいえない状況にある(この点の規制及び近時の傾向については後述する)。

 ■中国国内におけるネット販売事業に関係する許認可

 ネット販売ビジネスは、商品販売、インターネット情報サービス(いわゆるICP業務)、広告、決済サービス等、中国における様々な許認可事項を含んでいる。然るところ、中国では各活動の内容ごとに異なる行政部門の管理が絡んでいることが多いため、ネット販売に従事するために検討を要する許認可事項も単純でなく、常に複数の異なる規制が重畳的に適用されることに注意する必要がある。

 例えば、サイトの運営と商品販売というネット販売に不可欠な2つの要素だけを取り上げてみても、(1)サイト運営(コンテンツの提供・配信)の側面については通信管理部門の管理に服し、(2)インターネット方式による商業行為という側面については商務部門の管理に服するという具合である。

 ■サイト運営面についての通信管理部門の規制

 前述の2つの部門の規制のうち、前記(1)のサイト運営に関わる通信管理部門の規制について更に具体的に述べると、コンテンツの提供・配信を伴うサイト運営の側面については、インターネット情報サービス(コンテンツの提供)として「電信条例」及び「インターネット情報サービス管理弁法」等が適用され、これを「有償で」行うのであれば、ICP許可証の取得が必要となる。

 そして、当該許可証の取得については、更に外資参入規制も存在しており、「登録資本が1000万元以上であり、かつ、外国側の出資比率が50%までの中外合弁企業であること」等の条件が設けられている(「外商投資電信企業管理規定」第5条、第6条等)。法的には、所定の条件を満たせば外商投資企業がICP許可証を取得することも可能となるはずだが、実際の認可例は多くなく、実務的には、外商投資企業がICP許可証を自ら取得することは通常は容易でない。

 なお、インターネット情報サービスを「無償で」提供する場合には、ICPの届出で足り、こちらはICP許可証取得のような参入規制は設けられていない。

 ■有償性の判断が与えるインパクトと考え方のアプローチ

 □有償性の判断が与えるインパクト

 上記のとおり、インターネット情報サービスについては、これが有償であるか無償であるかにより、ICP許可証の要否や外資参入条件の有無が異なることになる。外商投資企業がICP許可証を取得することは実務上容易でないため

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