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1-6) 駐日アメリカ大使館が疑惑の政治家を列挙して本国に報告

奥山 俊宏

 米国の大手航空機メーカーから総理大臣・田中角栄ら日本の政治家に裏金が渡ったとされるロッキード事件は1976年に明るみに出た。この連載『秘密解除・ロッキード事件』では新たな資料をもとに新たな視点からこの事件を見直していく。第1部では、疑惑が発覚した当時に自民党の幹事長を務め、のちに首相になった中曽根康弘のメッセージとして米政府ホワイトハウスに届いたある言葉に焦点をあてる。その第6回。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽敬称は略します。

  ▽この記事は岩波書店の月刊誌『世界』2011年1月号に掲載された原稿に加筆したものです。

 

 だれが問題の「政府高官」なのか、米国の駐日大使館もこのころ、噂や風聞も含めて情報をかき集め、独自の推定を試みていた。

 2月9日、駐日大使ホジソンは「ロッキード証言の日本へのインパクト」と題する公電をまとめ、ワシントンの国務省に送った注11

 5ページからなるその公電は冒頭で「ロッキードによる日本における不適切な支払いの疑惑は当地では深刻なスキャンダルとなる可能性がある」と述べる一方で、本文の中では「今のところ、日本政府と自民党は疑惑に蓋をすることにかなり成功している」「日本のメディアは、いつもにはない慎重さをもって調査を進めている」「不適切な関与の証拠と名前に関する情報を求めるバトルはワシントンにシフトしている」と指摘した。

 「三木と日本政府へのインパクト」という項目では、ジャーナリストらから得た情報などをもとに7人の

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