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働き手目覚める中国 争議頻発 高まる権利意識

 中国広東省にある2千人足らずの変速機工場で昨春に起きたストライキが、中国内外で注目を集めました。中国経済の担い手は「物言わぬ安い労働力」から、権利意識が強い新世代に変わっています。「南海本田」ストの収束を仲介した中国人民大学教授で労働関係研究所長の常凱氏に振り返ってもらいました。

  ▽筆者:吉岡桂子

  ▽この記事は2011年1月17日の朝日新聞に掲載されたものです。

  ▽関連記事:   中国で裁判所が扱う労働紛争が激増《他紙・他誌》

 

 ■労使+業界代表+地元政府+教授 スト収束のあの日

常凱・中国人民大学教授=北京市の中国人民大学常凱・中国人民大学教授=北京市の中国人民大学
 「労働問題の専門家として助けてください」

 2010年6月3日の夕方、電話が鳴りました。南方なまりの中国語を話す若い女性の焦った声が聞こえます。「南海本田」で従業員側の交渉係を務める李さんでした。

 待遇改善を求めてストに突入したものの、半月余り過ぎても解決のめどが立たず、知人に電話番号を聞いてかけてきたそうです。

 私は求めに応じて、法律顧問になりました。中国で働き手の権利意識の高まりから多発する労働争議が、労使ともに無秩序で、時に暴力ざたにもなる状況を変えたいと思っていました。中国内外から注目されているこの案件を、理性と法律で解決するモデルにしたいと考えたのです。

 翌日昼、北京から広州へ飛びました。まず、調停者として交渉に加わっていた広州汽車の曹慶洪社長に会いました。このグループはホンダの合

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