「まねきTV」の名称で番組を海外転送していた「永野商店」(東京都千代田区)に対し、NHKと在京の民放5社がサービス差し止めと損害賠償を求めていた。
業者は、顧客が購入したソニー製の送信機器(親機)を国内で預かり、まとめてアンテナとネット回線につないで管理。海外の顧客が手元の子機で見たい番組を選ぶと、親機で受信した放送がデータ化され、ネットを通じて子機に転送される仕組みで、料金は月額約5千円だった。
判決で第三小法廷は、親機の所有者が利用者でも、アンテナを親機に接続し、継続的に放送が入力される設定をした業者が送信の主体と認定。「契約すれば誰でも利用できるサービスは、不特定多数への送信にあたる」と述べ、著作権法により、番組を独占的に放送、配信できるテレビ局の権利を侵害したと認めた。
海外赴任した駐在員や留学生向けに同様のサービスを展開している業者はほかにもあり、今回の判決により、業者が介在して日本のテレビ番組を海外在住者向けに転送するビジネスは今後、難しくなりそうだ。20日にも、最高裁の別の小法廷で類似のサービスについて判決がある。
08年6月の一審・東京地裁判決は「親機で放送を受信、送信している主体は利用者で、親機から子機への1対1の送信は適法」と指摘。同年12月の二審・知財高裁判決も著作権法に違反しないと判断していた。
判決を受け、テレビ各社は「適切な判断が下された」とコメント。一方の永野商店側は「一般国民の著作物の利用を制限する極めて不当な判決」とコメントした。
■私的な利用を厳格に判断 デジタル時代を意識
《解説》最高裁と一、二審が正反対の結論を出したのは
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?