2011年01月23日
▽筆者:三浦英之、浜田知宏
▽この記事は2010年12月23日の朝日新聞多摩版に掲載されたものです。
▽関連資料:前市長に対する求償権の不行使を違法とした東京地裁判決のほぼ全文(PDFファイル、AJ購読者)
訴訟の舞台となったのは、同市中心部の桜やイチョウの名所「大学通り」に面する、高さ44メートルの14階建て高層マンション(2001年完成)。
同マンションをめぐっては、建築主の明和地所が00年、「建物の高さを20メートルに制限する条例の制定によって、営業を妨害された」などとして、地区計画と市の条例の無効確認を求めて提訴。01年には一連の行為で被った損害賠償も追加請求した。
東京高裁は05年、「市の条例制定は不法行為にあたらない」とする一方で、「市議会で違反建築物と答弁した」などとして、上原前市長の営業妨害行為を認定。市側の敗訴が確定したことにより、市は遅延金を含めた損害賠償金約3120万円を明和地所に支払った。一方、明和地所はその後、「訴訟は業務活動の正当性を司法の場で明らかにするもので、賠償金を受領することが目的ではない」として、受け取った損害賠償金と同額の約3120万円を市に寄付している。
これらの市の行為に対し、同市の住民4人は09年、関口市長が、市が支払った損害賠償金を上原前市長に請求していないのはおかしいとして、住民監査を請求。その後、今回の住民訴訟を東京地裁に提訴していた。
今回の裁判では「上原前市長の行為は営業妨害にあたるか」「関口市長が前市長に市の損害を請求していないのは違法か」などが争点となった。市側は前市長が市議会で違反建築物と答えたことについて、「『違法建築物であると認識している』と、認識を表明したに過ぎない」と否認。現市長が前市長に損害を請求していないことについても、「明和地所からの寄付によって、市は損害賠償金の実質的な補塡(ほてん)を受けている」と原告側の訴えを否定していた。
東京地裁はこの日の判決で
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