2011年02月13日
米国の大手航空機メーカーから総理大臣・田中角栄ら日本の政治家に裏金が渡ったとされるロッキード事件は1976年に明るみに出た。この連載『秘密解除・ロッキード事件』では新たな資料をもとに新たな視点からこの事件を見直していく。第2部では、日米両政府の政治家がロッキードに便宜を図るために「天の声」を出し、関係者に「圧力」をかけようとした可能性を示唆する新たな資料に焦点をあてる。その第1回。
1972年9月20日、航空機メーカー「マクダネル・ダグラス」の副社長チャールズ・フォーサイスが、東京にある米国の駐日大使館を「緊急の用件」で訪ねた。
「ハイレベルの米政府の圧力を理由に、日本政府が日本の航空会社にロッキードL1011を購入するよう圧力をかけている」
フォーサイスはそんな苦情を経済担当の参事官に持ち込んだ。
「日本政府の圧力」とは何なのか? ワシントンDCの国務省に駐日大使館から送られた公電に次のように記されていた注。
「フォーサイスによれば、三井物産の上級副社長が9月19日、中曽根通産相のオフィスに呼び出され……」
総理大臣の田中角栄でも、運輸大臣の佐々木秀世でもなく、そこに名指しされていたのは通商産業大臣・中曽根康弘の事務所だった。(次回につづく)
▽注: National Archives at College Park, Record Group 59: General Records of the Department of State, Subject-Numeric Files, 1970-73, Economic, Box 645, Folder AV - Aviation 12-1 Japan, 20 September 1972, "Aircraft Sales"
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