2011年02月06日
▽筆者:奥山俊宏
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衝突事件は9月7日に発生し、石垣海上保安部は翌8日未明、中国漁船の船長を公務執行妨害容疑で逮捕し、9日午前、那覇地検石垣支部に送検した。
情報公開法に基づき海上保安庁が開示した「中国漁船衝突事件映像流出事案の事実関係」と題する文書によると、その後、衝突事件の映像は次のような経緯をたどった。
文書によると、9月17日、捜査の現場で、那覇地検の検事から海保側に対し、「映像鑑定を担当する海上保安大学校教授に早く証拠物を見てもらうように」との指示があった。
これを受けて、石垣海上保安部を管轄する第十一管区海上保安本部の職員は、アクセス制限のある共有フォルダーを用いて映像を海上保安大学校に送ろうと試みた。しかし、うまくいかなかった。そこで、アクセスの制限があまりないパブリックフォルダーを用いることとし、海上保安大学校のパブリックフォルダーに映像を掲載した。しかし、大学校職員は映像を取り出すことができなかった。5日後の9月22日の昼休み、第十一管区の職員が海上保安大学校のパブリックフォルダーのことを思い出し、フォルダーを開いてみたところ、映像が掲載されたままになっていた。第十一管区の職員は即座にそれを削除した。
一方、海保の文書や第五管区の文書によると、神戸海上保安部の巡視艇のある乗組員は、幹部職員になるのに合格する必要のある海上保安大学校の特修科試験の過去問題を入手しようと考え、9月19日午前10時半ごろ、巡視艇の操舵室に設置してある行政情報端末機を使って、海上保安大学校のパブリックフォルダーを開いた。そこには尖閣沖衝突事件の映像が掲載されていた。偶然これを見つけたこの乗組員はこの映像を巡視艇の端末に保存し、昼食後、船長ら同僚に声をかけてそれを視聴した。さらに、同日午後、管内の元上司ら6人に電子メールを送り、映像の保存場所を知らせた。
その後、9月24日、那覇地検は逮捕・勾留中の中国漁船船長を処分保留のまま釈放すると発表。10月に入って、衝突の様子を撮影した映像を公表するかどうかが国政の争点に浮上した。政府は映像を公開しない方針に転じた。
海保の文書によると、神戸海上保安部の巡視艇で9月19日午後にこの映像を視聴した海上保安官の一人は「映像が公開されない」との報道に疑問を感じ、「報道機関に
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