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商事法務の第三者委「読者をあざむいた」と編集長を指弾

奥山 俊宏

 法律雑誌の編集や発行をしている株式会社商事法務(東京都中央区日本橋茅場町)は2010年2月23日、「NBL編集倫理に関する第三者委員会」を設置し、3月31日、その調査報告書の全文をホームページに掲載して公表した。訴訟の一方当事者の代理人が執筆した原稿を「編集部」の名義で雑誌「NBL」に掲載した経緯を明らかにし、「読者をあざむいたことになる」と編集長を批判した。

▽筆者:奥山俊宏

 「NBL」は、商事法務が編集する法律雑誌の一つで、月2回、刊行されており、New Business Lawの頭文字を取って名付けられている。同社はこのほか、社団法人商事法務研究会から委託を受けて「旬刊商事法務」などの編集にもあたっている。

 問題となったのは、NBLの2010年1月1日号に「編集部」の名義で掲載された「東証売買システムの不備によるみずほ証券の取消注文の不処理をめぐる損害賠償請求訴訟の検討」と題する記事。みずほ証券が原告となって、東京証券取引所を相手に起こした訴訟で、東京地裁が原告の請求の一部のみを認めて107億円余の支払いを被告の東証に命じた判決について、解説・論評する内容だった。

 記事は判決について「余りに技巧的に過ぎるように思われる」「無理があるのではないか」「説得的なものと言い難いことは明らかであろう」「甚だ公平を欠くように思われる」と激しく批判し、「疑問を持たざるを得ない判断となっている」と結論づけた。

 この記事が世に出てから1カ月余が過ぎた2010年2月上旬、別の法律雑誌に先に載った記事とこの記事の内容が類似していること、「編集部名義の記事にしては、その立場が訴訟の一方当事者に偏りすぎている」ということが問題となり、社内で調べたところ、実はこの記事は、編集部ではなく、

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