2011年02月14日
▽筆者:奥山俊宏
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▽関連資料: 石川知裕議員らの起訴内容
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▽関連資料: 起訴内容に対する大久保隆規元秘書の認否
▽関連資料: 起訴内容に対する池田光智元秘書の認否
▽関連資料: 石川知裕議員らに対する検察官の冒頭陳述の要旨
▽関連資料: 石川知裕議員の弁護人の冒頭陳述
■資金洗浄防止の観点から
石川議員の弁護人の冒頭陳述によると、石川議員は2004年10月12日ごろ、小沢議員から現金4億円を受け取った、という。そのあと、石川議員は、検察官の冒頭陳述によると、13日に4回に分けて合計1億8千万円を陸山会の銀行口座に入金。18日には5千万円、21日には3回に分けて合計5千万円、25日には5千万円、27日には3回に分けて合計5492万円を陸山会の銀行口座に入金した。これらの入金は複数の銀行の6つの支店を通じて行われた。
銀行など金融機関は、マネーロンダリング(資金洗浄)を防止するための対策の一つとして、「疑わしい取引」を当局に届け出ることを義務づけられている。金融庁のウェブサイトによれば、「多額の現金により、入出金を行う取引」「公務員や会社員がその収入に見合わない高額な取引を行う場合」などが、「疑わしい取引」に該当する可能性があるとされており、銀行はみずからの判断でこれらを当局に届けなければならない。法律(現在は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」、以前は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」や麻薬特例法)に基づく制度で、当局側は届け出の内容を捜査などに役立てる。
弁護人の主張が事実だとすれば、小沢議員の秘書だった石川議員はこの監視の網の目をかいくぐろうとしたことになる。
検察官は、10月18日の月曜日の午前中に入金された5千万円に関連して、その前週末の10月15日の午後に石川議員が水谷建設から5千万円を受け取ったと指摘し、「このような状況にあったことから……水谷建設からの5千万円の受領事実等の収入の実態が露見するおそれがあったため……被告人大久保(隆規・元秘書)及び同石川は……そのような事態に陥ることを回避しようと企てた」と主張している。検察官は、10月12日ごろに一度に現金4億円が小沢議員から石川議員に渡ったという石川議員側の主張を認めておらず、代わりに「被告人大久保及び同石川は……10月初めころから同月27日ころまでの間に、小沢議員から4億円を現金で借り入れた」と主張し、この現金4億円の出所について「そのころまでに小沢議員に帰属するに至った合計4億円」と指摘するにとどめ、そのうち5千万円が水谷建設から石川議員が代理受領したものである可能性を否定していない。石川議員の弁護人があえて「分散入金処理を行った理由」を説明しようとしたのは、こうした検察官の主張を否定する目的があるからだとみられる。
■一年間先延ばしにできる?
陸山会は2004年、小沢議員の自宅近くで売り出され
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