2011年03月16日
「情報」は十分に保護されているのか
~ 日本の法制度・今後の課題 ~
西村あさひ法律事務所
弁護士 梅林 啓
■1 ある事例
元従業員から情報を盗まれたので、何とかできないかという相談がクライアントから持ち込まれることがよくある。事情を聞くと、元従業員が,会社に在籍中に手掛けた業務に関係する様々なファイルを、丸ごと持ち出して会社を辞めてしまったという。どのように持ち出したのかはまだ特定できていないし、その元従業員が実際にどのようなファイルを持ち出したのかという特定も、実はまだ完全にはできていないようであるが、その元従業員が競合他社に転職して、クライアントの会社で培った経験とノウハウを用いながらクライアントの業務を脅かしており、情報を持ち出して使っていることはほぼ間違いないというのである。
□情報窃盗罪
日本では、情報窃盗は犯罪とはされていないと言われることがある。刑法の窃盗罪の客体は有体物に限られているので、無体物である情報は
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