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2-4) 「過度の競争を避けるために日米合意に」

奥山 俊宏

 米国の大手航空機メーカーから総理大臣・田中角栄ら日本の政治家に裏金が渡ったとされるロッキード事件。この連載『秘密解除・ロッキード事件』では新たな資料をもとに新たな視点からこの事件を見直していく。第2部では、日米両政府の政治家がロッキードに便宜を図るために「天の声」を出し、関係者に「圧力」をかけようとした可能性を示唆する新たな資料に焦点をあてる。その第4回。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽敬称は略しました。

  ▽この連載の   目次とリンク

  ▽この記事は岩波書店の月刊誌『世界』2011年2月号に掲載された原稿に加筆したものです。

 

 翌日に日米首脳会談を控えた1972年8月30日、ホワイトハウスの補佐官ウィリアム・マグルーダーによって、ある文書がしたためられていた。

1972年8月30日にキッシンジャーにあてて提出された文書の冒頭部分

 「日本貿易交渉の会合は、米国製民間機の購入について貿易合意または了解を伴うことになるとみられる」

 国家安全保障担当補佐官のキッシンジャーにあてたその文書はそう書き出された。そして、次のようにその先の問題が提起されていた。

 「DC10、L1011、B747の3機種のメーカーすべてからの報告によれば、日本は今も各社をお互いに競争させることができ

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