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被ばく100ミリSv超えの東電社員「萎えていない」

福島第一原発事故発生後、敷地を出ず、自主的にとどまり続ける決意

奥山 俊宏

 福島第一原発でこれまでに100ミリシーベルトを超える放射線を浴びた東京電力社員の一人は、事故発生以降8日以上も同原発の敷地を出ずに、被ばく線量を累積させていた。現場を仕切る中間管理職の一人だという。今後も現場にとどまり続ける決意を電話で伝え聞いた本店の同僚が20日未明、「気持ちは萎(な)えてなかった」と記者に明らかにした。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽この記事は2011年3月21日の朝日新聞に掲載された原稿に加筆したものです。

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 東電の発表によると、20日午前5時の時点で、100ミリシーベルトを超えたのは7人。原発構内に長時間いたことで少しずつ線量が上がってきている。いずれも東電の社員。「どこまで頑張っていただ

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筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。2023年から「Atta!」編集人。

 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。

 そのほかの著書として『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)、『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。

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