メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

海水中の放射能「ふつうではない広がり」?

奥山 俊宏

 東京電力福島第一原子力発電所は、原子炉建屋を破壊され、外に放射性物質を放出する異常な事態に陥っている。3月22日、福島第一原発の南の海岸で取った水から基準値を超える量の放射性物質が検出されたことが明らかにされた。原発の危機に東京電力はどう対処したのか。東京都千代田区内幸町の東京電力本店から報告する。

 

 ■22日午前1時過ぎ

 原子炉や使用済燃料プールに状況好転の兆しが見えてきたことで、やや弛緩した空気の漂っていた22日午前1時前、「皆さまに配布したい資料がございます」と東電社員が記者に告げる。「なんだろう?」と、いぶかしがる記者たち。

 22日午前1時18分、資料の配布が始まる。そのうちの一つは次のようなタイトルだ。

 「福島第一原子力発電所放水口付近の海水からの放射性

・・・ログインして読む
(残り:約8329文字/本文:約8970文字)


筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。2023年から「Atta!」編集人。

 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。

 そのほかの著書として『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)、『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。

 ツイッターはhttps://twitter.com/okuyamatoshi

 ご連絡はokuyamatoshihiro@gmail.com または okuyama-t@protonmail.comに。メールの内容を暗号化する場合はPGPで。パブリックキーのIDは7D2BAD43550EAD96

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

奥山 俊宏の記事

もっと見る